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第 0390 話

もしずっと温井秘書としての役割を続けていれば、間違いなく適任だっただろう。

でも彼女は欲張りだった。彼が与える愛を求めていたのだ。

このまま関係を続けても、いずれ二人はもっと不愉快な思いをし、最も美しい思い出すらも失われてしまう。

「海咲......」州平は感情が高ぶり、薬の効果が早くも現れてきた。彼は鋭い目つきで彼女をじっと見つめた。「君が俺を離れて行くのは......湛ちゃんに会いに行くためなのか?」

海咲は何も答えなかった。ただ勇気を振り絞り、彼の鋭い視線を受け止めながら、そっと彼の美しい顔に手を触れた。

彼を見つめながら、彼女は彼の中に湛ちゃんの面影を探そうとした。

だが、彼は
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