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第 0231 話

海咲は唇を噛みしめながら言った。「私、もう辞職するって話しましたよね?」

「辞職ですか。それはまだ社長の承認が下りていませんし、温井さんのポジションを引き継ぐ人も見つかっていないんです。ですから、引き続き出社してもらう必要があります」木村清は穏やかに説明した。「温井さん、今すぐ役所を離れて会社に戻ってきてもらえますか?」

海咲は言葉を失った。離婚は成立せず、会社もまだ辞められない。彼女がそこまで考えが甘かったのも事実だ。後任者が見つかっていないのに辞めようとしていたら、後で何を言われるかわからない。

彼女は再度問いかけた。「じゃあ、新しい人が見つかったら、私は辞職できるんですね?」

「理論的に
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