共有

第205話

彼らが去った後、霜村冷司は、顔が真っ青になるほど怯えて立ち尽くす新井さんを見つめた。「杏奈に医者を呼んでやれ」

新井はすぐに頷き、「はい、すぐに医者を呼んできます……」と言い、足早に部屋を出ていった。

その場に横たわり、身動きの取れない杏奈は、辛うじて目を動かし、霜村冷司を見つめた。

包帯を巻いた右手が、先ほど銃を握ったせいで血まみれになっているのを目にし、彼女の表情は少しだけ動揺した。

「霜村さん、まずは止血をさせてください」

彼女は無理に体を起こそうとしたが、彼は冷たく言って彼女を制止した。「必要ない」

霜村冷司はそう言い残すと、背を向けてソファに向かい、夕日の残光を冷ややかな目で見つめていた。

杏奈は、彼の瞳に色が消え、命の輝きを失ったかのような暗い眼差しを見つめ、胸の奥に深い罪悪感が押し寄せてきた。

彼女は、ベルトで打たれたせいで赤く腫れた口元を震わせ、謝罪の言葉を口にした。「ごめんなさい、霜村さん……」

これまで彼が和泉さんのことを気にかけていないと思っていたが、電話越しに無念の口調で「杏奈、他の人は知らなくてもいいが、君まで知らないわけがないだろう?」と言われて、初めて彼が彼女を心から大切にしていたことを知った。

しかし、彼女の勝手な推測が、彼に和泉さんの健康状態を知らしめず、彼女と最後の時間を共にすることを逃させてしまったのだ。

また、彼女の意図的な隠蔽が、彼に和泉さんの最後の姿を見せる機会を奪い、彼らが哀しみと後悔を抱えたまま、陰陽の隔たりを作り出してしまった。

杏奈はそのことを思い、胸中に沸き上がる罪悪感が彼女を飲み込んでいく。「霜村さん、本当に申し訳ありません。和泉さんに対しても、あなたに対しても、私のせいで千夏を敵に回し、和泉さんを早逝させてしまったんです。私が彼女を死なせてしまったのです……」

彼女の傷ついた目からは熱い涙がこぼれ落ち、それでもなお、繰り返し謝罪の言葉を紡ぎ出していた。「ごめんなさい、ごめんなさい……」

霜村冷司は冷ややかに彼女を一瞥し、いつものように冷徹な声で、しかし深い無力感を滲ませながら言った。「君のせいじゃない。私が彼女を平手打ちし、釘の上に倒れさせてしまったせいで、彼女の死期が早まってしまったんだ……」

彼はそう言い終わると、血の滲んだ瞳で静かに彼女を見つめた。「杏奈、私が彼女を死なせて
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status