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第147話

松本若子はどれだけ待っても、藤沢修は現れなかった。

彼に電話をかけると、「もうすぐ着く、すぐに向かっている」と言われたものの、

30分、1時間が経っても彼は到着しなかった。

彼らが約束した1時間はとうに過ぎ、民政局の前には離婚を待つ人々がまだ多く並んでいた。

もし藤沢修が早く来なければ、民政局の営業時間が終わってしまう可能性があった。

もうすぐ4時になる頃になっても、藤沢修はまだ姿を見せなかった。松本若子は怒りを覚えた。離婚すら積極的でないなんて、彼に対する苛立ちが募ってきた。

彼女が再び藤沢修に電話をかけようとした瞬間、突然別の電話が鳴り、画面には「警察署」の文字が表示された。

疑わしい表情で松本若子は電話を取った。「もしもし?」

「何ですって?どうしてそんなことに?」彼女の顔は驚きに包まれた。

「わかりました、すぐに向かいます」

そう言って電話を切った。

「何があったんだ?」遠藤西也が尋ねた。

松本若子は頭を抱えるような表情を見せた。

「藤沢修が酒気帯び運転で捕まったの。今、警察署にいるから保釈しなきゃならないわ」

「酒気帯び運転?」遠藤西也の目には強い疑念が浮かんだ。

「若子、焦らないで。どこの警察署か教えて。すぐに連れて行くよ」

遠藤西也が車を運転して、彼女を藤沢修がいる警察署に連れて行く頃には、もう午後5時近くになっていた。

拘留室では、藤沢修が壁にもたれかかり、片足を伸ばし、もう片方の足を曲げて、まるで何の気もないかのようにリラックスした様子で座っていた。

松本若子が拘留室の扉の前に立ち、「藤沢修、どういうことなの?」と問いかけると、

彼はゆっくりと顔を上げ、薄く笑って「来たのか」と言った。

その様子はまるで常習犯のようだったが、明らかに彼にとっては初めてのことだった。

「あなたは…」松本若子が何かを言おうとした時、警官が近づいてきて、「こちらの書類に記入してください」と言われた。

彼女は怒りをこらえながらも、仕方なく警察官について行き、

前後にたくさんの書類を記入し、保証書を書き、罰金を支払った。その間に時間はどんどん過ぎ、すでに4時40分を回っていた。民政局が閉まるまで、あと20分しかなかった。

彼を保釈しても、二人が民政局に到着するには間に合わないことが明らかだった。

藤沢修は初犯だったため、酒気帯
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