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第141話

「じゃあ、どうしてあなたは桜井雅子と一緒にいるの?何の権利があって私を責めるのよ?恥を知りなさい!」

「俺は桜井雅子と一緒にいるんだよ!」と、藤沢修は怒鳴った。「結婚する前にちゃんとお前に言ったはずだ。それに、離婚を提案したのは俺だし、お前もあっさり承諾したじゃないか。お前も離婚したがってたくせに、今さら被害者ヅラするな!」

松本若子は怒りで全身が震え、この男がもう完全に理屈を失っていることを感じた。

「藤沢修、もういい加減にして!お前は本当に最低だ!」

遠藤西也は松本若子を自分の後ろに引き寄せ、藤沢修に向かって怒鳴った。「お前、本当に男か?若子をこんなにひどく扱うなんて!」

俺が男かどうか?藤沢修は不気味な笑いを浮かべた。「遠藤西也、お前が若子に聞いてみろ。俺が男かどうか、彼女が一番よく知っているだろう!」

松本若子は拳を握り締め、怒りと羞恥心が湧き上がった。藤沢修が公然とそんな侮辱を言い放ったことに耐えられなかった。

「藤沢修、あなたは本当に最低の人間だ!」遠藤西也も激怒し、彼の襟元を掴んで、二人の男は激しい乱闘を始めた。

「キャー!」桜井雅子は驚いて悲鳴を上げた。「やめて!どうして霆修に手を出すの?あなた、正気じゃない!」

しかし、彼女はその場に立ち尽くすだけで、止めに入る勇気はなかった。二人の男たちは激しく殴り合い、どちらも引く様子はなかった。

「もうやめて!やめてよ!」松本若子は地面に崩れ落ち、激しく泣き出した。「お願い、もうやめて!」

「若子!」

「若子!」

二人の男たちは彼女の姿を見て、すぐに互いの手を離し、松本若子の元へ駆け寄った。最初に彼女に手を差し伸べたのは遠藤西也だった。

彼はすぐに彼女を抱き起こし、心配そうに尋ねた。「大丈夫か?」

松本若子は涙を拭いながら、遠藤西也の顔の傷を見て、心の底から申し訳なく思った。「ごめんなさい…痛くない?」

彼女は悲しそうに彼の顔に手を伸ばして傷を確認しようとしたが、その瞬間、彼女の手は別の力強い手に捕らえられた。

突然、彼女は力強く引き寄せられ、その勢いで胃がひっくり返るような不快感に襲われ、思わず吐きそうになった。

振り返ると、怒りに満ちた藤沢修が彼女を睨みつけていた。松本若子は笑みを浮かべた。彼を見てもう何も感じなかった。ただ、その状況が滑稽に思えただけだった。

「松本
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