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第025話

「ええ」

松本若子はそれ以上何も言わなかった。ここは彼の家で、彼が滞在したいなら滞在すればいい。

この何でもない普通の出来事に、松本若子の心の中にはほんの少しの喜びが湧き上がっていた。

昼食の時間、松本若子はあまり食欲がなく、ほとんど野菜だけを食べていた。藤沢修は彼女の皿に肉を入れた。

「どうして野菜ばかり食べるんだ?肉も食べろ」

松本若子は肉を見ると吐き気がし、どうしても食べられなかった。

しかし、彼に疑われるのを恐れ、仕方なく肉を口に運んだ。幸い、彼女は最初に少量の妊婦用の吐き気止めを飲んでいたので、なんとか我慢することができた。

「これから何の仕事をしたい?」藤沢修が突然尋ねた。

「何?」松本若子は顔を上げて彼を見た。

「前に卒業したら仕事を手配してやると言っただろう。何をしたいんだ?」

「自分で仕事を見つけるわ。手配してもらう必要はないわ」

「自分で探すのか。SKグループには行かないのか?」

「行かないわ」松本若子は苦笑いを浮かべた。「私たちは離婚するのよ。前妻として、どうしてSKグループで働けるの?仕事のことは自分で解決するわ」

「ただの仕事だろう。そんなに距離を置く必要があるのか?それとも金融の仕事をしたくないのか?後悔はしていないと言ったじゃないか?」

彼は彼女が意図的に距離を置いているのを感じ取っていた。まだ離婚していないのにこの状態なら、離婚したら彼とはまるで他人になるだろう。

「大学院を目指したいと思っているの」彼女はそう言って誤魔化した。

「大学院か?」

「うん、金融の分野では修士号を取得した方がいいと思うの」

「いいだろう、目指してみろ」彼は彼女が大学院に進学するというのなら反対する理由もなかった。「どの大学を考えているんだ?」

「それはまた考えるわ。今はあまり話したくないの」彼女は今、この話題について考えたくなかった。大学院進学は一時的な言い訳だったのだ。

藤沢修はそれ以上追及しなかった。

食事を終えて二人が部屋に戻ると、藤沢修は棚から一つのプレゼントボックスを取り出し、彼女に手渡した。

「これは何?」松本若子が尋ねた。

「誕生日プレゼントだ」

「…」

彼女の誕生日はもう何日も前に過ぎていた。

「何をぼーっとしてるんだ?受け取れ」

松本若子はプレゼントを受け取り、開けてみると、中には非常
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