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第026話

藤沢修が去った後、松本若子は学校に連絡を取り、遠藤西也の状況を尋ねた。

彼が今病院にいることを知り、住所を聞くとすぐに駆けつけた。

松本若子は遠藤西也の病室を見つけた。ドアは閉まっておらず、中に入ると医師が彼の検査をしているのが見えた。

遠藤西也は松本若子が来ると、微笑みながら言った。「松本さん、来てくれたんですね」

松本若子は急いで前に進み、「先生、彼の状態はどうですか?」と尋ねた。

医師は答えた。「遠藤さんは肋骨が二本折れています」

「なんですって?」松本若子は非常に心配そうに言った。「命に別状はないんですか?」

遠藤西也はすぐに「大丈夫です」と言おうとしたが、彼女が心配している表情を見ると、なぜか言葉が出てこなかった。

医師は首を横に振り、「安心してください、命に関わることはありません。深刻ではなく、すでに整復されていますが、一晩は病院で観察が必要です」

「それならよかった」松本若子はほっとして、「ありがとうございます」と言った。

医師はうなずいて病室を出て行った。

松本若子は病床の横の椅子に座り、申し訳なさそうに言った。「遠藤さん、本当にごめんなさい。私のせいでこんなことに…痛みますか?」

「気にしないでください。あなたは大丈夫ですか?けがはありませんか?」と彼は逆に彼女を心配した。

「私は大丈夫です」松本若子はそっと自分のお腹を撫でた。赤ちゃんも無事だった。

彼女はどう感謝の気持ちを表せばいいかわからなかったし、直接感謝を伝えることもできなかった。

「お腹がどうかしたんですか?調子が悪いんですか?」

今日の壇上で、彼は彼女の体調が悪そうなのに気づき、彼女が転びかけたときも、彼女は真っ先にお腹をかばっているように見えた。

「大丈夫です」松本若子はお腹から手を離し、「本当にどう感謝したらいいのかわかりません。医療費やその後の費用はすべて…」

「松本さん」遠藤西也は彼女の言葉を遮り、「私は補償を求めているわけではありません。心配しないでください」

「そういえば」遠藤西也はベッドの引き出しを開け、中から学位証書と角帽を取り出した。「これ、あなたのものです」

松本若子はそれを受け取り、少し驚いた。「どうして持っているんですか?」

「あなたが私を訪ねてくる気がしたので、いつでも渡せるように持ってきました。次は無くさないでくださ
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