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第7話

ただ、夜が更け静寂が訪れると、過去の思い出がよみがえり、どうしても心が波立つのを抑えられなかった。

そんな気持ちに振り回されないように、私は仕事に没頭し、ほとんど会社に泊まり込み状態だった。

新しいチームリーダーが冗談を言った。

「朝夜さん、そんなにバリバリ働かなくても大丈夫だよ。髪がなくなるよ」

リーダーの名前は壱紀で、私より五歳年下。背が高くでイケメン。噂では彼の家はコネがあるから、この会社に抜擢されたらしい。

しかし、彼が来てから三ヶ月も経たないうちに、もうそんな話をする人はいなくなった。

壱紀は性格が良く、気前もいいので、よく飲み物や食べ物を差し入れてくれるし、仕事の能力も確かだからだ。

……

「朝夜さん、夜は遊びに行こうよ!」

突然肩をポンと叩かれ、驚いて振り返ると、案の定また壱紀だった。

彼は性格はいいが少し軽くで、よく人の背後から驚かすように声をかけてくる。私は彼に何度も驚かされてきた。

もし彼が私のリーダーでなければ、頭を軽く叩いてやるところだった。

今夜は特に予定もなかったので、私は彼の誘いに応じることにした。

壱紀は笑いながら私の肩を抱きかかえるようにして外へと連れ出した。

私は体に触れられることがあまり好きではなく、離れようとしたが、会社の入り口で隼人を見かけると、手を下ろした。

この三ヶ月の間に、彼が酔っ払った姿で私のアパートの下に現れることが何度かあった。

私は彼に会いに行くことなく、何も知らないふりをしてきた。

まさか、今日はここまで追いかけてくるとは思わなかった。

「知り合い?」

壱紀は私の肩を離さず、さらに密着するように抱きしめてきた。

「うん、元カレよ」と私は言った。

壱紀が「僕が邪魔?」と聞いてきた。

「ううん、大丈夫」

私は隼人と話すことなんて何もない。

壱紀は笑いながらそう答え、自分の派手なスポーツカーのドアを開けた。

乗り込もうとした時、隼人が複雑な表情で私を引き止めた。

「その人、新しい彼氏なのか?」

「違うわ」

「密着してたのに?」

隼人は怒鳴るように言った。

私は彼の怒った表情を見て、冷静に答えた。

「彼は弟みたいなものよ。少なくとも、今の私に彼氏もいないし、弟と抱き合っても別に自由でしょ?」

夜、家に戻ったら、見知らぬ番号からメッセージが届いていた。

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