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第6話

岳にはアリバイがあったため、ひとまず釈放された。

しかし岳は帰ることを拒み、入口で必死にドアを叩いて失踪届を出そうとしていた。

「届けを出したい!妻が家出したんだ!彼女が見つからない!」

相手は鋭い目で尋ねた。

「あなたは妻を愛しているのですか?」

岳は立ち尽くし、やがて呟くように言った。

「僕は…彼女を愛している、どうして愛していないなんてことがある?僕は彼女を十年も愛してきたんだ…」

そうだ、私も忘れかけていた。もともと岳は自ら望んで私と結婚したのだ。

彼が私を愛していないはずがない。

でも彼は、他の女の機嫌を取るために、私を自分の手で冷凍庫に閉じ込めたのだ。

彼が私を愛しているはずがない。

私と岳の愛情は十年前に始まり、十年前に終わった。

あの頃、私はまだ恥ずかしがり屋の少女で、彼に少しでも見つめられると顔を赤らめていた。

彼もまた私だけを見つめる少年で、結婚を申し込んだ後、耳まで真っ赤にして、私が同意するとその場で飛び跳ねて喜んでいた。

彼は私にこう言ったこともある。「嵐、君に初めて会ったときから、ずっと君と結婚したいと思っていたんだ」

「嵐、君が子供が欲しいと思ったとき、すぐに作ろう。僕はいつまでも君を待っているよ」

しかし私が本当に子供を持つ準備ができたとき、彼はこう言った。「嵐、君に相川家の子供を産む資格があるのか?」

すべては雨宮家が倒産したことから始まった。

私たちが結婚して二年目、雨宮家は倒産し、雨宮家の別荘は取り立てに来た者たちによって完全に焼き払われた。

岳の両親が救出に駆けつけたとき、別荘には助けを待つおばちゃんだけが残されていた。

彼の両親はおばちゃんを救うために自らの命を犠牲にし、雨宮家と共に火災で命を落とした。

その日から、岳は私を仇敵と見なした。

すべては私のせいだ。私が彼と結婚したから、彼の両親は雨宮家のために死んだのだ。

「嵐、お前の命は相川家が与えたものだ。お前は今や犬、メス豚だ。俺が言うことは何でもやらなければならない」

「俺が死ねと言ったら、お前は死ななければならない!」

私は彼を見つめ、何も言わなかった。

そうだ、私は相川家の両親を死なせた。岳が私を憎むのは当然だ。

でも、私にも親はいなくなった。

私だって、親のいない子供になりたくなかった。

私にはおばちゃんしか
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