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第2話

ひなたは少し不機嫌になり、甘えながら岳に新しいものを買ってほしいとせがんだ。

岳は仕方なくひなたの頭を撫でた。

「わかったわかった、全部新しいものを買ってあげる!君は僕の一番愛するお姫様だからね!」

ひなたは再び喜びに満ちて、待ちきれずに私の部屋に飛び込み、めちゃくちゃに物を壊し始めた。

「前からこの物たちが気に入らなかったのよ、全部壊して!新しいものに替えて!」

私は彼らの後について行き、歩くのも少し辛かった。

おそらく体があまりにも長く凍っていたせいで、全身が痛くて、一歩歩くごとに骨組みがバラバラになった。

最初のうちは慌てて自分の骨を拾いに戻っていたが、自分がすでに死んでいて、今存在しているのは虚無の意識に過ぎないと気づくと、骨を拾っても意味がないことに気づいた。

私は自嘲して笑い、それ以上気にしないことにした。

「岳、もし私が今後家出したら、あなたは探しに来てくれる?」

「もちろんだよ、ひなた。嵐はただの詐欺師だ、君が彼女と比べる必要なんてない。僕のひなたは決して嘘をつかない」

私は壁の隅に寄りかかり、彼らの取り留めのない会話を聞きながら、ひなたがその言葉を聞いて、何やら意味ありげに妊娠検査薬を取り出すのを見ていた。

「そういうことなら、岳にいい知らせを教えてあげるわ!私、妊娠したの!」

私は身を起こした。

この妊娠検査薬、見れば見るほど見覚えがある。私が死ぬ前に使ったあの検査薬ではないか?

私は好奇心で彼らに近づいた。私が包装を破ったときにうっかり傷つけてついた血の滴がまだ試験紙に固まっている。ひなたはそれを新しいものに変えることも知らないのか。

しかし岳はひなたを全く疑わず、興奮して彼女を抱き上げた。

「本当か!君は僕の子を身ごもってくれたのか!ひなた、君はこの世で僕にとって最高の女だ!」

興奮し終えた岳は、急いで慎重にひなたを私のベッドに横たえ、まるで壊れやすい陶器を扱うように。

彼はひなたに布団をかけてあげ、たしなめるように言った。「もっと早く言ってくれればよかったのに。そうと知っていれば南極にオーロラを見に行くなんて連れて行かなかったよ。体にどれだけ負担がかかったか」

「大丈夫よ、岳。これはあなたの子供よ。彼はあなたと同じくらい健康になるわ」

彼らのいちゃつきをこれ以上聞きたくなくて、私はつまらなくなってその場を離れた。

どうせ私は岳との政略結婚の駒に過ぎない。彼が私を愛していないことはわかっている。

たとえ私が彼を十年間愛していても、彼の目には私が映ったことは一度もない。毎年秘書を変えてきたことから、今では帰国した初恋のひなたまで、とにかく彼の目にはいつも他の人がいて、私の存在はなかった。

私はとっくに慣れてしまった。

でもそれがどうしたというのか。おばあちゃんはまだ病院にいる。私は岳が必要で、彼のお金も必要だ。

おばあちゃんのことを思い出すと、私の心臓がまた痛み始めた。

おばあちゃんはまだ私が死んだことを知らないはずだ。

どうせおばあちゃんは病気で、いつも私のことを覚えていないから、急いで私を探すこともないだろう。

私はまた地下室へと足を運んだ。ここは私が半月間閉じ込められていた場所だ。

私はその冷凍庫の前に近づいた。冷凍庫は防塵カバーでしっかりと包まれていて、中の様子は全く見えない。

私の血液が排水口から流れ出し、防塵カバーの底部を浸して、しっかりと冷凍庫に貼りついている。

半月前、岳は私をこの間もなく廃棄される冷凍庫に閉じ込めた。

私がひなたの入浴中に給湯器を切っただけで、岳は私にもひなたと同じ苦しみを味わわせると言って叫んだ。

彼は数人ボディガードを呼び、豚肉を運ぶかのように私を冷凍庫に運び入れ、自ら扉を閉めた。

私の手足はしっかりと縛られ、口には臭い雑巾が詰め込まれ、身動きが取れなかった。

「嵐、お前はわざとひなたに対抗して、嫉妬していたんだろう?自分の過ちを認めるか?」

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