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第9話

私は軽蔑の目を向け、冷たく言い放った。「山田が今後もお前を助けるとでも思ってるの?利益の前では、山田家の人間も彼の愚行を黙って見過ごすことはないわ。待ってなさい!判決が出た後には、お前の支えなんて全て消え失せるから!」

林の顔が真っ青になるのを見届け、私はその場を後にした。

今回の事件は影響が非常に大きく、さらに排水の不正が事実だったため、林国雄には無期懲役が言い渡された。

本来、私は死刑を求めていたが、冷静に考え直した結果、このような人を死なせるのはあまりにも簡単だと思った。あいつには生きて償わせるほうがふさわしい。

判決がその場で言い渡されると、林国雄は上訴しなかった。しかし、それを受け入れられなかったのは林だった。裁判所を出るとき、突然ハサミを持って私に襲いかかってきた。

「高橋、死ね!」

その瞬間、私の目の前に誰かが飛び出した。それは山田だった。

彼はどこからともなく現れ、私を守るようにハサミを受け止めた。刃が彼の腹部に深く刺さり、林は驚愕して動きを止めた。私は無表情のまま立ち尽くし、法警が林を取り押さえ、救急車が山田を病院へ運ぶのをただ見ていた。

何も言わず、私は家族と共に墓地へ向かい、判決文を燃やして彼らに捧げた。

目が赤くなるのを感じながら、やっとここまで来たのだと思った。傍らにいた弁護士が言った。「林は故意の傷害罪で起訴されます。判決がどうなるかは今後次第ですね」

私は冷静に答えた。「彼女が死ぬ必要はないし、彼女のお金も要らない。ただ、彼女が相応の罰を受けることだけを望んでいます」

山田についても同じだった。許す気など全くなかった。

墓地から戻った後、山田家から電話がかかってきた。山田輝が危篤だと言い、病院に来てほしいと懇願してきた。

彼は重傷を負い、十数時間もの間昏睡していたが、ようやく目を覚ましたという。

病室で彼と再会すると、彼は顔色が蒼白で、弱々しい声で謝罪した。「美穂、ごめん」

だが、その言葉を聞いても、私の心は動かなかった。両親が亡くなったあの日、彼が言うべき言葉だった。

それが今さら聞かされても、ただ虚しさを感じるだけだった。

「今になって、自分が間違っていたと気づいたの?」

山田輝は苦笑した。「俺たちが元に戻れないことは分かってる。でも、本当に謝りたいんだ」

「林がこんなことをするなんて思わなかっ
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