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第7話

会社に着くと、私は義姉の弟である健二を会議室に連れて行き、総務部に頼んで会社の業務に関する資料をいくつか運んでもらった。

「え、直接お姉ちゃんの秘書をさせてくれるんじゃないの?」と彼はふてぶてしい態度で私に近づいてきた。

私は呆れた表情で彼を見つめ、彼の顔に不安の色が浮かんできたところでようやく口を開いた。「退勤後に様子を見に来る」とだけ伝えて。

彼が何か言いかけるのを無視して会議室を出た。

そのフロアには大きな会議室が一つしかなく、エレベーター口には屈強な警備員を二人配置して、健二がそのフロアから出られないようにした。

これで彼がどんな手を使おうとも、この場所から出られないはずだ。

私はその足で自分のオフィスに戻らず、監視室に行った。すると、案の定、わずか15分も経たないうちに、健二は会議室から抜け出し、あたりをきょろきょろ見回していた。誰も彼に注意を払わないとわかると、悠々とフロア中を歩き回り、各部屋の扉を試して回ったが、どの部屋も会議室ばかりで目ぼしいものは何もない。

結局、彼は会議室に戻り、また何か企むような目つきでエレベーターの方へ向かい、外へ出ようとしたが、私の指示を受けている警備員二人が彼を止めた。

監視カメラ越しに見ると、健二は警備員を指差して怒鳴り散らしているようだったが、どれだけ怒っても警備員たちは彼を無視して立ち尽くしている。

すると突然、健二が片方の警備員に殴りかかり、その警備員はとっさに身をかわしたが、健二の拳は壁にぶつかってしまった。続けざまに彼はもう一人の警備員に向かって突進し、彼を床に倒し、数発殴りつけた。これを見ていたもう一人の警備員が健二を引き剥がし、しっかりと抱き留めて動きを封じた。

そろそろ見物は十分だと判断し、隣で一緒に監視カメラを見ていた警備部長に目で合図を送り、私たちは大勢を引き連れて会議室へと向かった。

「一体何が起きてるんだ!」エレベーターを出ると、健二が警備員から逃れようと手足を振り回し、倒れている警備員がうめき声を上げているのが目に入った。

警備部長は慌ててその警備員の元に駆け寄り、「大丈夫か、どこを殴られたんだ?」と心配そうに尋ねた。

私はその様子を見て、「早く病院に行って検査を受けた方がいい。費用は会社が負担します」と焦ったように言ってみせた。そして、健二に向き直り、「これが故意の傷
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