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第9話

翌朝、起きてダイニングへ行くと、案の定、義姉の家族全員が席について私を待っていた。だが、今日は気分が良かったので、逃げることなく朝食を楽しむことに決めた。

「まだ帰ってなかったの?昨日、父さんが『出て行け』って言ったはずだけど?」と、牛乳を飲みながら、彼らが口を開く前に私から先制攻撃を仕掛けた。

義姉の顔は一気に険しくなり、「ここはどうせ私の家になるんだから、誰を住まわせるかは私の自由よ」と吐き捨てるように言った。

「そうかしら?」と私は眉をひそめて彼女に挑発的な視線を送り、深く突っ込まずに返した。

「まあ、訴えられないように気をつけて頼んでおくことね!」と鼻歌を口ずさみながら席を立った。警備部の彼が証拠を握っている限り、そう簡単にはうまくいかないだろう。心の中で、いつかこの一家を追い返してやると密かに決意した。

その「いつか」が、こんなにも早く訪れるとは思わなかった。

その夜、親友に誘われてバーに出かけ、席についてふと見慣れた人影を見かけた。

なんと、あの義姉の弟、健二だったのだ。

私が彼に視線を向けると、友人が気づき、一緒にそちらを見てから露骨に嫌な顔をした。「え、まさかあの子に興味あるの?あの男はダメよ。あれこれ女の子と遊んでばっかりで、姉に頼ってばかりだって」

さらに彼女は「自分の姉の金を吸い取っているようなものよ、姉も大変ね」と軽蔑するように言葉を続けた。

「姉の方はそれを誇らしげに思ってるみたいで、家で毎日問題を起こしてるわ」と私は肩をすくめた。

友人が驚いて目を丸くし、「えっ、その姉を知ってるの?」と興味津々で身を乗り出した。

「そのお姉さんが、うちの義姉です。」

「え、そうだったの…」

その夜、健二は何十万も使って派手に遊び、一人また一人と女性たちが彼のテーブルに押し寄せていた。彼がかなり人気者であることがよくわかった

今になって、義姉が家族への仕送りとして費やしたお金の行方がわかった気がした。

家に戻ると、夜遅かったため、両親には気づかれないよう静かに部屋へ向かおうとしたが、通りかかった客室から密かな話し声が聞こえてきた。

「芸子はどうするつもり?」

義姉の声だ。自分の名前が出てきて、私は思わず立ち止まった。

「お前も早く動かないと。あの子、今はまだ相手がいないんだから、誰かに先を越されたら、この家の財産も他人
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