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第197話

「バン!」空に打ち上げられた花火が輝いてすぐ消えた。

隣にカップルがいて、女の子は男の子の手を掴んで言った。「私たちは永遠に一緒になろう」

彼らの後姿を見て、紗枝は突然に恋をしたくなった。

啓司のことが好きになってから、彼女は周りの人からの告白を断り、恋愛することなく、そのまま啓司と結婚した。恋愛を味わうことができなかった。

暗い空を見上げて、紗枝の目に涙が湧いてきた。彼女は自分に言い聞かせた。「お父さん、後悔した」

啓司と結婚したことを後悔した。どうして自分を愛してくれない人を選んだのかを公開した。

8時半、花火が終わった。

人群れが消えて行った。

牧野が迎えに来た時、川辺に独り立ちにした紗枝を見て、寂しく思った。

婚約者が一昨日に彼に言ったことを思い出した。相手を愛するなら、十分の安全感を与えなければならない。ほかの女の事で、二人の感情に影響を与えてどうする?

あの瞬間、彼は紗枝のことをいくらか同情していた。

車を止めて、彼は車から降りて紗枝の傍にやってきた。

「紗枝さん、迎えに来ました」

紗枝は暫くして正気を取り戻した。落ち込む気持ちを抑えて彼を振り向いて丁寧に言った。「ありがとう」

車に乗った。

牧野はわざと車の温度を高く調整した。

海外に長くいて、紗枝は体の調子を少し改善されたが、普通の人よりまだ痩せている。特に冷たい風に当たると、顔色が青白くなり、風に吹かれるとすぐ倒れるぐらいだった。

牧野はバックミラー越しで彼女を見て、運転しながら啓司のために説明した。

「葵さんは今夜、オタクファンにやられ、死ぬところだった。今は手術中で、啓司に最後に一度会いたいと言われた」

オタクファン…

紗枝は苦笑した。オタクファンなんかじゃなかっただろう?啓司に少し調べればわかるはずだったが。

そして、葵なら、加害されるなどあり得ないだろう。

それに、昇がまだ辰夫を捕まっているので、彼女を傷つけるチャンスはなかっただろう。

彼女が自作自演しただろう。

「うん」紗枝は一瞬止まって言い続けた。「知っている。彼が言った」

牧野はほっとした。

長い間啓司についたので、自分のボスが本当に紗枝のことが好きになったと気づいた。そうじゃないと、数年渡って探すことがなかった。それに、彼女のために仕事を手放して、わざわざ人に頼んで、紗枝の
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