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第6話

佐江のところで療養している間、一度も泣かなかった。でも昭のその一言を聞いた瞬間、とうとう涙が溢れた。

家族の安心感、そんなものを感じたのは初めてかもしれない。

「お兄ちゃん、私、この数ヶ月で本当にいっぱい苦しみを味わったの」

昭も涙をこぼしながら、私をぎゅっと抱きしめ、声を上げて泣いた。「何があったのか話してくれ」

私はこの二ヶ月で起きたことを、漁村で療養して連絡もできなかったことも含めて、全部昭に話した。

話が進むにつれて、昭の怒りがどんどん増していくのが分かった。手が震えてる。「あのクズども、絶対に許さない。ぶっ殺してやる!」

私は慌てて昭を引き止めた。「お兄ちゃん、落ち着いて。私はこうして無事なんだから」

昭は私をじっと見つめ、「まさか今でも一真のこと好きだなんて言わないよな?あいつがすべての苦しみの原因だって、まだ分からないのか?あの男さえいなければ、こんな目には遭わなかったんだぞ」と、怒りを込めて言った。

そして昭は少し言いづらそうに、「さっきはお前が傷つくと思って言わなかったけど、実はな、あいつ......もう詩織って女と結婚するつもりらしい。お前がいなくなってすぐ、婚約を解消して、つい最近、その女と結婚するって大々的に発表したんだ」と伝えた。

私の顔に浮かぶのは、無感情で冷たい表情だけだった。「お兄ちゃん、安心して。私、あいつらを絶対に許さない。私が生き延びたのは、あの子のために復讐しなきゃって思ってたから」

そう言いながら、私はお腹にそっと手を当てた。

昭は私の顔をじっと見てから、お腹に視線を落とし、深く息をついた。「お母さんを守ったね、偉いよ。お前たちには強い縁があるんだろうな......きっと、またお前のもとに戻ってくるよ」

私は大きくうなずき、涙が目に溜まった。

私がもう後悔していないと分かると、昭は「それで、これからどうするんだ?」と尋ねてきた。

私は拳を強く握りしめ、「一真と詩織が私にしたこと、必ず自分の手で返してやる。でも、今のこの顔じゃ無理かもしれない。まず整形が必要だよね」と答えた。

昭は私の計画を聞き、深くうなずいた。「お兄ちゃんが力になるよ。ただ、慣れ親しんだ妹が別人になるってのは、なんか不思議だな。でも、どんな姿になってもお前は俺の大切な妹だよ」

私は昭に大きくうなずいて、思わず彼の胸に飛び込んだ
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