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第8話

二人が去る前、一真が少し疑うようにこちらを見て、「どこかで君に会ったことがあるような気がするんだ。近づいてきた時、なんだか懐かしい感じがしてさ」と言ってきた。

私は軽く笑って、「もしかして前世で会ったのかもね」と返した。

一真もくすっと笑って、肯定も否定もせず、さらっと流していた。

詩織は私をきつく睨みつけながら、一真の腕を引っ張って急いで去っていった。二人が遠ざかる背中を見送りながら、私は心の中で冷たく笑っていた。

そう、前世で会ったに違いないわ。だって私は、一度死んだ身だから。

家に戻り、一真の連絡先は手に入ったけど、彼から連絡が来ることはなかった。まあ、私は焦ってもいなかったが。

今の私にできることは、また「偶然」会う機会を増やすことくらい。あまり距離を縮めすぎると、かえって一真に迷惑をかけるかもしれないしね。

数日後、一真があるイベントに招待されたと聞いた。そのイベントの主催者が、なんと私だったのだ。

私の姿を見た一真は、明らかに驚いて、そしてどこか嬉しそうだった。

私はさりげなく一真に声をかけた。「あなたがそんな有名なスターだなんて知らなかったわ。普段あまり芸能人とか気にしないから、最初会った時は気づかなかった」

スターでありながら、一真は目立つのがあまり好きではないらしく、私の言葉を聞いて嬉しそうな表情をしていた。

「気にしないで、今まで通りでいいよ。気を遣わなくて大丈夫だから」

イベントが終わった後、一真は休憩室で自主的に私を食事に誘ってきた。やっぱり、一度目の出会いは偶然でも、二度目は運命だと感じたんだろう。

「もちろん、光栄です」私は笑顔で応じ、一真と食事に出かけた。

彼は食事中、私をじっと見つめながら、「本当に君に会ったことがないのかな? どうしても懐かしい気がするんだよ」と少し戸惑い気味に言った。

私は微笑み、「だから言ったでしょ?もしかしたら前世で会ったのかもって。私も、あなたにどこか懐かしさを感じるの」と答えた。

一真は笑って、「それじゃあ、僕たちは縁があるのかもね」と言った。

食事をしながら、私は一真の趣味を熟知しているのをうまく活かし、彼が興味を持つ話題を次々と振った。

一真はまるで長年の友人と話しているように親しげで、何度も頷きながら聞き入っていた。

そんな時、詩織から電話がかかってきた。一真の顔
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