第110話

真澄の心の中で、優子はいつも陽光に満ちた存在だった。幼い頃から良い教育を受け、正しい価値観と教養を持っていた人だった。

彼女は決して卑劣な手段を使うことがなかった。裕福な家庭に生まれたにもかかわらず、普通の人々を見下さなかった。自信に満ち、高貴であり、峻介が彼女のような女性を好きになるのも全く不思議ではなかった。

何しろ、真澄自身も女性として優子のことがとても好きだった。多くの場面で、優子の行動は真澄自身を恥じらせるほどだった。

しかし、目の前の女性には優子の姿が全くなかった。まるで壊れた人形のように、精緻で美しい瞳には一片の感情も見られず、真澄の心を冷やした。

「優ちゃん、何を馬鹿なことを言っているの？」

優子は泣きながら、狂ったように笑い続けた。

これらの写真が再び彼女の世界を崩壊させ、新たに築き上げた。

優子は今になって、自分がこれまで優しすぎたことを悟った。その優しさが他人に自由に自分を虐げさせる原因となっていたのだ。

彼女は涙を流しながら言った。「彼は私のために豊のところを探す気なんて全くなかった。ただ私を虐める理由を探していただけだ。それなのに私は父が目を覚ますのを一心に待っていた。」

「優ちゃん。」

「私は彼が飼っている犬みたいなもので、たまに彼が気分がいい時に何かを恵んでもらい、それに感謝しながら、彼を怒らせないように慎重に振る舞っていた。彼の目に映る私は滑稽な存在だったんだ。あんなに傷ついていたのに、彼を喜ばせようとして、彼は無遠慮にも私を侮辱できるんだ。」

「優ちゃん、落ち着いて。」

「落ち着けって？真澄、どうやって落ち着けるの？私が遭った不幸は全て彼らのせいなのに、なぜ死ぬのが私で、彼らじゃないの？」

そんな優子に、真澄は恐怖を感じた。

「優ちゃん、お願いだから馬鹿なことは考えないで。確かに里美は悪い女だけど、子供は無実なんだから、変なことを考えないで。」

優子は母親を早くに失い、父と二人三脚で生きてきた。彼女にとって家族は何よりも大切な存在だった。

後に子供が生まれ、その子供が彼女の全てとなった。

彼女は自分の父と子供の事故がただの不運だと思い、峻介を責めることはしなかった。

しかし、今やそれが計画的な殺人であり、優子の最も大切な二人の命を奪ったことを知った時、もう許すことなどできなかった。

さらなる悲劇