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第603話 おじいさんをじっと見る

しかし、思わず聞いてしまった。

「晋様、鑑定結果は?」

晋太郎の瞳は微かに赤くなり、唇を噛みながら言った。

「やっぱり、彼女は私に隠していたんだ!」

「え?」

晋太郎は資料を机に置いた。

嬉しくて興奮すると同時に、言葉にできない複雑さも感じていた。

佑樹とゆみは自分の子供なのだ!

しかし、なぜ紀美子は隠し続けていたのだろう?

肇は我慢できず、そっと覗き込んだ。

結果を確認した後も、彼は驚きの表情を隠せなかった。

肇は興奮して言った。

「おめでとうございます、晋様!おぼっちゃまとお嬢様を見つけましたね!」

晋太郎の目が光った。

「紀美子はなぜ私から隠していたのだろうか?」

肇は眉をひそめた。

この問いに、彼自身も興味があった。

肇は少し考えてから、「もしかすると、晋様が二人の子供を連れ去ると考えたのではないでしょうか?」と推測した。

晋太郎は表情が曇った。

「僕がそんな人間に見えるか??」

肇は黙って晋太郎を見つめた。

違うのか?

しかし、彼は否定できずに別の言葉を選んだ。

「入江さんは、森川爺が真実を知って連れ去るかもしれないと恐れていたのかもしれません」

晋太郎は眉間を寄せ、以前森川爺が二人の子供を連れ去ろうとしたことを思い出した。

肇の言葉は一理ある。

紀美子はおじいさんを警戒していて、それで子供たちの存在をずっと隠していた可能性もある。

それで自分に対しても、秘密にしていた。

もし森川爺が強引に二人の子供を連れ去ろうとした場合、それを阻止するのは難しい。

彼が、二十四時間紀美子と子供たちを見張ることはできないからだ。

晋太郎は報告書を引き出しにしまい込み、低い声で命じた。

「このことは誰にも言わないように」

肇は戸惑った。

「晋様、御坊ちゃまとお嬢様と対面しないのですか?」

「まだ早い!口を堅く閉じろ!」

肇は理解できなかった。

二人の子供をこれほど気にかけていながら、なぜ認めると言えないのか?

それほど入江さんが怖いのか?

それとも……

森川爺を警戒しているのか?

肇は後者の可能性が高いと思った。

そこで森川爺の話題に触れた。

「晋様。商工会議所の方から、入江さんの父についての情報が入りました」

晋太郎はファイルを手に取り、読み進めながら言った。

「そのまま続けろ」

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