共有

第608話 説明しないのか

舞桜は、これまでに見たことのない外の騒ぎに驚かされていた。

ただ人だかりができているだけでなく、彼らは石を持って叫びながら窓ガラスに投げつけていたからだ。

それでも、紀美子が佳世子を守るようにと言ってきたのを受けて、舞桜は決意を新たにした。

「紀美子、大丈夫よ!」

紀美子は頷き、晴に電話をかけながら階段を上がった。

寝室に着いたとき、晴がようやく電話に出た。

彼の声は少し寝ぼけているように聞こえた。

「もしもし?」

紀美子は鏡台の前に座り、「田中さん、メドリンに子どもたちを迎えにいってください。担任には私が連絡するから、数日間子供達をお願いします」と言った。

晴は何か変だと感じ、「何かあったんですか?」と尋ねた。

「それはネットを見てみてください。お願いします」

「ああ、わかりました」

電話を切ると、紀美子は化粧を始めた。

晋太郎は書斎にいて、表情は極めて険しかった。

肇が心配そうに彼を見た。

「晋太郎さん、どうしましょうか?入江さんはかなり厳しい状況です」

晋太郎は冷たく言った。

「紀美子に電話しろ!」

肇は頷き、すぐに行動したが、電話は繋がらなかった。

「繋がりません。入江さんはおそらく電源を切っているのでしょう。しばらくはこのまま繋がらないかもしれません」

晋太郎は拳を握りしめ、怒りに満ちた黒い瞳で言った。

「技術部に投稿した人物のIPアドレスを調べさせろ!」

肇は頷いた。

「わかりました。しかし晋太郎さん、これによりMKにも影響が出るかもしれません」

晋太郎の目が細くなった。

「その程度の損失なら耐えられる。紀美子の会社が何か発表したら、PR部門は彼女の意向に従って対応するように伝えろ」

「了解しました、晋太郎さん!」

肇は書斎を出て行った。

晋太郎は唇を噛み、顔には厳しさが浮かんでいた。

帝都でここまで無法な振る舞いをするのは誰なのか、確かめてやろうと思っていた。

翔太はニュースを見て、紀美子のもとへ向かおうとしていた。

出発する前に、裕也と真由が慌てて彼のオフィスに駆け込んできた。

真由は涙目で近づいてきた。

「翔太さん、一夜にして紀美子さんがみんなの標的になっちゃった。電話しても全然通じないの。

あの子、思い詰めるんじゃないかな?何か連絡できる方法はない?」

裕也も急いで続けた。

ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status