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第303話 何を言ってるのさ

万両は怒りを抑えることができなかった。母親が先ほどスキャンしたのは、彼らの全ての財産だったのだ!

万両は佑樹を睨みつけ、「どういうつもりなんだ?!結局何も手に入らなかったんじゃないのか?!」と詰問した。

佑樹は反論した。「何も手に入らなかったってわけじゃないだろう?さっきはちゃんと六十万円入ったじゃないか。自分の運が悪いだけだ、僕に責任があるとは言えないだろう?」

「あなた!」と、世津子は息を呑んで佑樹を指差した。「この詐欺師め!」

邦夫は呆然と立ち尽くし、言葉を発することもできなかった。

佑樹は笑みを消し、冷たく入江家の面々を見つめた。「このアプリは君たちが自分で遊んだんだよ。僕が強引にさせたわけじゃない。さっき僕が話を終わらせないうちに、君たちは急いで遊び始めたんだ。幸運なことが必ず起こるわけじゃないんだよ、それを知らないのか?」

世津子は口を開けて泣き叫んだ。「詐欺師だわ!子供だってのに私を騙すなんて!みんなも聞いてよ!評判を取ってくれ!」

周囲の人々が振り向き、女性が子供を詐欺師だと指摘しているのを見て、皆一様に非難の視線を向けた。

「自分で遊んでおいて、子供のせいにするなんて親としてどうなの?」

「その子はまだ幼いよね、そんな子が人を騙せるわけないじゃない」

「自分の責任を他人になすりつけるなんて、そんな大人見たことないわ」

「……」

周囲の声を聞いて、万両は激昂し、人々に向かって指を突きつけた。「何がわかるんだよ!この子は私たちを騙してるんだよ、明らかに!」

通行人たちが呆れ返った。「恥知らずね。確かに詐欺師はいるかもしれないけど、子供が人を騙すなんて信じられるわけがないでしょう?」

「そうだよ、自分自身が信じられないなら、警察に訴えるべきだよ。なぜ我々に向かって叫ぶの?」

「本当に醜態をさらしてるね、ここが公共の場所だってことを忘れてるの?」

入江家の面々は罵詈雑言に晒され、顔色が青白くなった。

邦夫は怒りに任せて、床に座り込んでいた世津子を引きずり上げ、「もう十分だよ!全部の財産をなくしたんだよ!それでもまだ何か言う気なのか?!」と怒鳴った。

世津子は涙と鼻水を拭いながら、「行くわ!この子を警察に連れて行くのよ!」と言った。

すると、ゆみと念江は心配そうに佑樹を見た。

佑樹は彼らに安心させるように頷いた。

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