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第218話 冷血無情で見殺しに。

 「あなたには関係ないでしょ!?」紀美子は負けずに叫び返した。「晋太郎、なんで私が息子に会いに行くのを止めるの?

佑樹がいなくなったら、一生許さないわ!!あなたは見ぬふりをしていた!冷血無情で見殺しにしたのよ!!」

晋太郎の表情がどんどん険しくなるのを見て、佳世子は不安そうに前に進み出て説明を始めた。

「紀美子、慌てないで、佑樹を見せるから、いい?」

そう言いながら、佳世子は急いで携帯を取り出し、晴にビデオ通話をかけた。

しばらくして、晴が通話に出ると、画面に彼の顔が映し出された。

「どうした?」晴の声が響いた。

「晴、カメラを佑樹に向けて… えっ?!」

言い終わる前に、紀美子が携帯を奪い取った。

紀美子は画面をじっと見つめた。

晴がカメラを病床で静かに横たわっている佑樹に向けた瞬間、紀美子の目から涙が溢れた。

佑樹は死んでいなかった……

体にも包帯や管はなく、小さな手の甲にだけ点滴が刺さっていた。

紀美子は嗚咽をこらえながら聞いた。「佑樹は……どうなったの?」

「麻酔を大量に投与されたから、まだ目を覚ましていないんだ」佳世子はため息をついて説明した。

紀美子の張り詰めていた心は次第に落ち着きを取り戻し、携帯をゆっくりと下ろして尋ねた。「じゃあ、落ちたのは誰?」

「砂を詰めたぬいぐるみだよ。佑樹の服を着せていて、飛び散った血は鶏の血さ……」佳世子は説明した。

当時、彼女もかなり驚いていた。

だが、駆け寄ってぬいぐるみだと気づいたとき、これは完全に罠だと理解した。

ボスは本当にすごい、彼が早くからそれが本物の佑樹ではないと見抜いていたことだ。

だから彼は紀美子が囚われるのを阻止しようとした。

同時に、警察も彼が手配したものだ。

光樹には大切にしている息子がいることを知ったボスは、彼が本当に人を殺すことはないと確信していた。

彼の息子には、彼しか家族がいないからだ。

この一点を突いて、ボスは全てを計画し、光樹が逃げようとしたところを警察に捕まえさせたのだ。

唯一予想外だったのは、偽の佑樹の死にショックを受けた紀美子が気を失ってしまったことだ。

その時、彼女は感情を抑えきれなかったボスを見た。それは驚愕だった。

紀美子を抱きかかえて走り出したスピードは、まるでチーターのようだった!

それをみてボスに対する見方が少しだ
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