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第222話 心配をかけた。

 紀美子は顔を青ざめさせながら首を振った。もしも楠子が素早く反応していなかったら、彼女は今頃命を落としていたかもしれない。

 彼女は視線を戻し、楠子を見つめた。

 楠子の腕には、見るも痛々しい傷ができていた。

 紀美子は急いで立ち上がり、「楠子、病院に行くわよ!」と言った。

 楠子は紀美子の視線を追って腕を見ると、まるで痛みを感じていないかのように、冷静な表情を保ち、眉ひとつ動かさなかった。

 「ちょっとした傷です。大丈夫です」

 「これはちょっとした傷じゃないわ!行くわよ、病院へ!」紀美子は言った。

 そして受付を済ませ、急診へと向かった。

 楠子の腕には十数針が縫われ、その後、エックス線写真を撮ったところ、肘の骨が粉砕していることがわかった。

 紀美子は非常に申し訳なく思い、「楠子、有給休暇をあげるわ。これからはしっかり家で療養してちょうだい。

「今日のこと、私は忘れないわ。ありがとう」と言った。

 楠子は淡々と答えた。「社長、ありがとうという言葉をあなたはもう十回以上も言いました。休みは必要ありません。休暇もいりません」

 紀美子は強く言った。「だめよ!こんな状態で仕事なんてできないわ」

 「でも、家で仕事をするのは止められませんよ」楠子は答えた。

 ワーカホリック……

 紀美子の頭にはこれらの文字が浮かんだ。

 彼女はこれほど仕事に没頭している人を見たことがなかった。

 それでも、彼女の負担を軽減してくれる頼りになる存在であることには変わりない。

 紀美子は仕方なく、「じゃあ、家で仕事をしてもいいわ。会社のことは好きにして」と言った。

 楠子はうなずいて、「はい」と答えた。

 楠子に薬を処方してもらい、食事を終えた後、紀美子は彼女の希望に従って会社に送っていった。

 その後、ボディーガードに楠子を自宅まで送るように指示した。

 病院に戻ると、昼に起こった出来事を佳世子に話した。

 佳世子は目を大きく見開いて、「マジで?!また誰かがあなたを狙ってるんじゃない?」と驚いた。

 紀美子は首を振って、「そうじゃない。運転手もその場で亡くなったの」

 「もうだめ、だめ、私は本当に被害妄想症になるわ」佳世子は恐れを抱き、首を縮めた。

 その姿がまるでウズラのようで、紀美子は思わず笑い出した。

 「喉が……」

 かす
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