「G、実は君に対してずっと申し訳ないと思っているんだ」 紀美子は、訳がわからずに聞き返した。「どうしてそんなことを言うの?」 「いや、何でもないよ」朔也は、一瞬だけ寂しげな表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。「帰ってきたらまた話そう!」 朔也がセキュリティチェックの通路に入っていき、紀美子は彼の姿が完全に見えなくなるまで見送った。 夜。 紀美子が二人の子供たちと夕食をしていると、佳世子が勢いよく部屋に入ってきた。 「佳世子ママ!」ゆみは興奮して椅子から飛び降り、佳世子に飛びついた。 佳世子はゆみの顔を抱きしめて、何度もキスをした後、紀美子に向かって言った。「紀美子、ちょっと話したいことがあるの」 「まだ夕食をとっていないでしょ?」紀美子が尋ねた。そして佳世子はゆみの手を引いてテーブルに座り込み、「まだよ、でもここで食べないわ。後で飲み会があるから」と答えた。佳世子はよく友達と一緒に飲み会を開くので、紀美子はそれほど気にしなかった。「何を言いたいの?」紀美子は尋ねた。「今日、うちの部門の社員が話していたんだけど、静恵が会社を立ち上げるらしいの。場所まで決めたみたいよ!」佳世子はそう言いながら、果物の一切れを口に運んだ。「彼女が会社を?」紀美子は少し驚いた。お金が足りなくなったから会社を立ち上げようとしているのか?「そうよ、しかもその会社の所在地があなたのビルの中にあるの!」佳世子は憤慨しながら言った。「絶対にわざとよ!」紀美子は少し考えた。隣の部屋には以前、IT企業が入っていたが、今では発展してかなり大きくなっていた。しかし、静恵がその場所をすぐに手に入れられたのは、野碩の助力があったからに違いない。そうでなければ、他の人がこんな良い場所を譲るはずがない。「でも心配することはないわ」佳世子は紀美子が口を開く前に続けて言った。「静恵がいくら頑張ったって、あなたと張り合うことなんてできないわ」紀美子は眉をひそめて言った。「そんなに簡単じゃない。彼女がこんな考えを持っているということは、しっかりと準備をしているはずよ。「彼女は社長の座に座って、野碩の人脈を使って、経験豊富なデザイナーをたくさん引き入れることができるわ」「でも国内外でランキングに入るようなデザイナーは、みんなMKにい
実は、静恵が彼を誘拐した黒幕だったのだ。 彼女のせいで、ママは崩れ落ち、地面に倒れてしまった。 このことを知ってから、彼はずっとどうやってその悪い女を倒すかを考えていた。 今、その悪い女が自分から出向いてきたのだから、彼女に開業祝いの贈り物をしないわけにはいかないだろう? 翌日。 紀美子は子供たちを送り届けてから会社に向かった。 会社に行く途中、以前のテクノロジー会社の前を通ることになる。 通り過ぎた時、紀美子は疲れた表情の労働者たちが会社から出てくるのを目にした。 彼女は携帯を取り出し、ゆっくりと何枚か写真を撮り、ついでに静恵の会社YNの名前も写し込んだ。 その後、彼女は会社で会議を開き、さらに服装工場へと向かった。 午前十時半、工場にて。 紀美子はオフィスへと向かい、楠子の怪我が良くなったかどうか確認しようと思ったが、彼女がオフィスにいないことに気づいた。 そこで、紀美子は作業場に入った。 入るとすぐに、紀美子は楠子が腕を吊りながら、数人の修理技師と機械の前で話しているのを見つけた。 紀美子が近づくと、ちょうど楠子もこちらを向いた。 「入江社長」楠子が声をかけた。 紀美子の突然の訪問に、楠子は特に驚かなかった。 以前から紀美子と一緒に工場に来ることがよくあったからだ。 紀美子は楠子の腕を見ながら言った。「少しは良くなった?」 楠子は頷き、「だいぶ良くなりました。ご心配いただきありがとうございます!」 「機械に何か問題があったの?」紀美子が尋ねた。 修理技師が振り向いて言った。「入江社長、この秘書さんは本当にすごいです!一目で布に微かな損傷があることを見抜きました。 「作業を10分もしないうちに、この機械の問題を見つけ出しました。中に鋭利な物が挟まっていたんです」 紀美子は驚いて楠子を見つめ、そして前にあった損傷した布を手に取って注意深く調べた。 じっくり見なければ、布の小さな傷は確かに見えない。 この細やかな観察力に、紀美子も感心せざるを得なかった。 これらの問題のある布が顧客の手に渡ったら、会社の評判に深刻な影響を及ぼすに違いない。 紀美子は楠子に感謝の眼差しを向け、「楠子、本当にありがとう!」 楠子は冷静に答えた。「それが私の仕事です」 渡辺
夜。 紀美子は病院に松沢を見舞いに行った。 エレベーターを降りたところで、医者と話をしている晋太郎に出くわすとは思っていなかった。 紀美子は反射的に身を翻そうとしたが、あの男の冷たい視線が既に彼女に向けられていた。 仕方なく、紀美子はそのまま進み、晋太郎とすれ違う際に軽く会釈をした。 「お嬢さん、少しお待ちください」 突然、晋太郎と話していた医者が流暢でない日本語で彼女を呼び止めた。 紀美子は立ち止まり、振り返って「何かご用でしょうか?」と尋ねた。 医者は前に出て、手にしていた報告書を紀美子に渡した。 「これは松沢初江さんの報告書です。それから、森川さんからの依頼で、再度の開頭手術を行えるかどうか相談したいとのことです」 紀美子は報告書を受け取り、中を見ると全てドイツ語で書かれていた。 これでは読めない。 紀美子は視線を上げ、晋太郎を見ると、彼は黒い瞳に少しの嘲笑を含ませ、興味深そうに彼女を見ていた。 これは故意だろうか? わざと彼女が読めない報告書を持たせ、彼に助けを求めさせるために? 紀美子はあえて彼には頼らず、直接医者に向かって言った。「読めませんから!大まかにどういう状況か教えてください。どうして再度開頭手術をする必要があるのですか?」 晋太郎の表情が一瞬で曇った。 彼女に自分から話しかけさせるのがそんなに難しいのか? 医者が話す内容と報告書に違いがあるかもしれないことを恐れないのか? 「本来なら、松沢さんが植物人間になるはずはないのです。CTにも異常はありません。 「だから、さらなる検査をして原因を探したいのです」医者は率直に言った。「リスクはどの程度ですか?」紀美子はさらに尋ねた。「松沢さんが目を覚ます可能性はありますか?」「リスクは確実にありますし、目を覚ますかどうかは保証できません」「保守的な治療は?」紀美子は再び尋ねた。「この長い時間、全く反応がないのを見ましたよね。「ですが入江さん、私はとても気になるのですが、彼女の開頭手術を誰が行ったのでしょうか?」医者はため息をついて言った。紀美子は一瞬言葉に詰まった。松沢さんの手術は悟が行った。悟が松沢を害するなんてあり得ない。松沢は彼にとても親切にしていたから。そんな考えが浮かんだ瞬間
「入江さん、あなた……」医者は重々しくため息をついた。「森川さんは松沢のことをとても心配していますから、あなたにあんな風に言われたら、誰だって悲しくなってしまいます」入江紀美子は相変わらず心配な顔をしているのを見て、医者はまた口を開いた。「松沢さんの病状は実に変わっています、どの外科医でもこんな手術を簡単にできるのに、通常ならこんな状況になるはずがありません。」紀美子は深く息を吸って、「ではもしそれが心理的な要素によるものだったら?」と尋ねた。医者は眉を寄せ、「その確率は極めて低いです」と答えた。イラついた紀美子は頷き、「分かりました。でも私はやはり保守治療をお願いしたいです」医者は相手が自分の意見を受け入れようとしないので、振り向いてその場を離れた。紀美子は松沢初江の病室に入り、真っ白な顔をしていた初江をみて暫く躊躇った。最後、彼女は塚原悟に電話をすることにした。暫くすると、悟は電話に出た。紀美子は休憩エリアに行って口を開いた。「悟さん、初江さんの手術はあなたが引き受けたの?」「私は執刀医ではなく、助手だった」悟は単刀直入に聞いた。「何かあったのか?」その答えを聞いた紀美子は、取り合えず安心した。「東恒病院の外国人の医者さんは初江さんにもう一度開頭手術を勧めているの」紀美子は言った。「君はどう思う?」と悟は聞き返した。「私は素人だから、あなたの意見が聞きたい」「彼達は君にこう勧めているなら、きっとそれなりの自信がある」悟は言った。「初江さんが早く目が覚めるといいな」紀美子「分かった、アドバイスありがとうね」「いいえ」電話を切って、紀美子は森川晋太郎に言った酷い話を思い出した。悟は執刀医ではないこと、彼はきっと知っていた。ならば彼女が言ったことは、確かに酷かった。暫く躊躇ってから、紀美子は晋太郎のメールアドレスを探し出して、一通のメッセージを編集した。「酷いことを言ってごめん、初江さんのことを心配してくれてありがとう」メッセージを送信してから、紀美子は何かが足りないと思って、また一言を追記した。「特に変な意味ではなく、単純に自分が酷いことを言ったから、謝りたいだけ」メッセージが届いた頃、晋太郎は車に乗ったばかりだった。2通目のメッセージを読んで、彼の
電話の向こう側にて。田中晴は電話を切ると、杉浦佳世子は一本の酒を彼の前にポンと置いた。明らかに酔っぱらった佳世子は聞いた。「晴、何電話してんのよ?まさか逃げようとか思っていないよね?」晴は無力に佳世子を見て、「まさか、俺はそんなことをする人間か?謝ると言ったからには必ず謝るって」「謝れば済むとでも思ってんの?」彼女はフンと蔑み、「あんたを殺してから謝ってみる?」「君はそれができると思ってるのか?人を殺したら刑務所に入れられるよ」「おや?!佳世ちゃん?」晴の話が終わった途端、1人の爽やかなタイプの男が目の前に来た。その人はせいぜい20代になったばかりのようで、かなり幼い顔をしていた。佳世子は晴の話をそのまま無視して、両目を光らせながら立ち上がって若い男性に話かけた。「あら、あんたもここにいたのね!ちょうどいいタイミング、一緒に飲もう!」佳世子は気前よく自分だけの知り合いを晴との飲み会に誘った。晴の表情は曇った。男は晴を見て、大きな声で佳世子に聞いた。「こちらの方は?」佳世子「あっ、ただのおっさんよ、すっごく酒が弱いし練習相手にもならないから、気にしなくていい」晴は思わず口を広げ、何で彼女におっさん呼ばわりされなきゃならないのだ??酒が弱い、だと?彼はただ彼女に気を使っていただけだ!それに、1人の男に声をかけた傍から、もう1人の男を飲みに誘った?彼1人じゃあ物足りないのか?晴はイラついてテーブルに置いていた酒をとり、自分のグラスに一杯を注ぎ、そして佳世子に言った。「佳世子」佳世子は振り向いて、「なに?」と聞いた。「酒を飲むんだろ?」晴は佳世子のグラスに乾杯して、「今日はどっちが先にくたばるのかみてみようじゃないか」藤河別荘にて。別荘に帰って、入江紀美子は子供達を寝かせてから自分の部屋に戻った。時間はまだ夜9時だったので、紀美子は息子に電話をかけた。その頃の森川念江は恐る恐るとリビングのカーペットに座っていた。お父さんは今日どうしたのだろう、急にパズルを買ってきて一緒にやろうと誘ってきた。別にパズルは嫌いではないし、お父さんと一緒に遊ぶのも嫌いじゃない。でもなぜかお父さんが怖い雰囲気をしていて、まるで誰かと喧嘩でもしたようだ。パズルを並べる時でも何だか
森川晋太郎の鷹のような鋭い目つきを浴びながら、森川念江は緊張して携帯を握り緊め、「どんな質問?」と聞いた。「例えば佑樹とゆみの話とか」入江紀美子は少し戸惑った、なぜ息子の反応が遅いのか?声も低くて、いつもの嬉しそうな口調で彼女と喋っていなかった。念江は心の中で「ドキン」として、「いいえ、お母さん」紀美子「そっか、ならいいわ。これは私達の秘密、お母さんは念江くんならきっと秘密を守ってくれると信じてるから」その話を聞いた晋太郎は、再び携帯を念江に見せた。携帯画面に書かれた文字を読んで、念江の顔色が急に変わった。彼は震えた声で、「お、お母さん、いつになったらお父さんに祐樹くんとゆみちゃんの身の上を教えるの……」紀美子は眉を寄せた。違う、念江の情緒はおかしい!しかもいつも電話する時より質問が多い。紀美子はすぐに晋太郎を連想した。彼は念江の傍にいる可能性が高い!紀美子は冷静で答えた。「念江くん、たとえ佑樹とゆみがあなたと血縁関係がなくても、彼達はあなたの兄弟に変わりはないわ」母の返事を聞いて、念江はほっとした。幸い、お母さんはおかしいと気づいてくれた!念江「分かってるよ、お母さん」紀美子「それじゃ、電話を切るね」「うん、おやすみ、お母さん」携帯をしまい、念江は質問をされる準備が出来ていた。しかし不思議なのは、父から何も聞かれなかった。父に黙って母と連絡をとっていたことも怒られなかった。念江はこっそりと晋太郎を覗いたが、父の顔色は前より大分悪くなっていた。3日後。渡辺邸にて。狛村静恵は電話の着信音に起こされた。彼女はイラついて電話に出た。「誰よ、こんな朝っぱらから?!」相手は、「狛村さん、前頼まれた件に進展がありました。」と言った。その声を聞いた静恵はすぐに思い出した。彼女はMKの元同僚に頼んで、技術部で晋太郎が人探しをしていたことについて情報を探ってもらっていた。静恵は眠気を一掃して体を起こして、「どうだった?」と聞いた。「森川社長が探していた女は、どうやら社長と随分と関係が深いらしいです。あとで写真を携帯に送りますけど、約束してくれた報酬ですが……」「ちゃんと払うわよ、けどあなたも,その女は晋太郎さんとはどういう関係なのか、続けて探してもらうわ」
狛村静恵はドアを押し開け、携帯を持ってまだベッドに座っていた渡辺野碩の傍にきた。彼女は指で写真の中の女性を指して、「お爺様はこの女性をご存知ですか?」と尋ねた。野碩は携帯を手に取り、目を細めて写真を細かく確認した。彼は一目を見て考え込んだ。「見覚えがある、だが具体的にどこで見たのかは思い出せん」静恵「晋太郎さんと関係のある人で、彼の書斎の引き出しの中で見たことがあります」「なるほど」野碩はもう暫く写真を見て、そして首を振って答えた。「わしは思い出せん、静恵ちゃん」静恵は焦ってきて、更に野碩に頼んだ。「もう少しちゃんと見てください。もしかして晋太郎さんの親戚か何かかな?」「静恵ちゃんよ、彼は人探しをしているのは分かるが、なぜお前まで焦っているのだ?」野碩はそれ以上見ても分からないと思い、携帯を静恵に返した。静恵「私も彼のことを思っていますから、彼の代わりに焦っています」野碩「あいつのことには、一切かかわってほしくない。わしはもう少し休んでるから、君は出ていい」静恵の眼底に一瞬イラつきが浮かんだ。このクソジジイが、思い出せないなら見おぼえがあるなんて言うな!期待して損した!人は年をとると使い物にならなくなる!やはり自分で探さないと!藤河別荘にて。入江紀美子は子供達を学校に送ろうとしたら、白川友里子に止められた。「行かないで」友里子は乞うような眼差しで紀美子を見て、彼女の手を掴んで放そうとしなかった。紀美子は戸惑った、友里子はこれまでずっと大丈夫だったのに、今日はなぜ行かせてくれないのだろう?彼女は少し離れていたところの秋山先生を見た。秋山先生は近くに来て、「白川さんは最近ただ後ろの庭で散歩していただけだから、恐らく外に出たいと思っているかもしれません。たまには環境を変えて気晴らしをすれば体の回復の役に立つかもしれません」と言った。紀美子は仕方なく、友里子を慰めた。「友里子さん、外に連れていってもいいけど、ちゃんと私のいうことを聞いて、大人しく私の傍にいてくれる?」友里子は「本当にいいの?」と目が光った。入江ゆみは友里子の足を抱え、小さな頭をあげて言った。「おばさん、お母さんが外に連れて行ってくれるって、よかったね!お母さんはね、忙しすぎて滅多に私とお兄ちゃんを外に
「友里子さん、上は人が多くてうるさいから、下に残ってね。秋山先生とボディーガードに周りを散策とかお菓子を買いにつれて行かせてあげるから、いい?」「うん」白川友里子は大人しくまた車に戻った。入江紀美子は秋山先生に、「先生、お願いね、必ず友里子さんを見ておいて、絶対見失ったりしないで」と念を押した。「任せて、入江さん」秋山先生は約束してから、ボディーガードと一緒に友里子を散歩に連れて行った。秋山先生はボディーガードに遠くまで行かせず、会社の近くで車を止めさせた。彼女は友里子を近くのコーヒーショップに連れていき、コーヒーを飲むことにした。友里子は店にあった美味しい物を殆ど一通り注文して、秋山先生に言われたレモン水も忘れずに注文した。もうすぐ11月なので、昼間の気温はそれほど暑くなく、太陽の光を浴びるのに最適だった。秋山先生は友里子を連れて店の外の席に座って紀美子を待っていた。しかし、彼女達から少し離れた所に、ハイヒールを履いた狛村静恵が車を降りた。静恵はボディーガードに待つように指示した時、横目で白い服を着た姿を見かけた。そして彼女が無意識に見てみると、相手が見えた瞬間、彼女はいきなり視線が凍った。あれは……森川晋太郎が探している人じゃない?!静恵は慌てて車に戻り、友里子の動きを見つめた。ボディーガードは疑惑して、「狛村さんは会社に行かないのですか?」と聞いた。静恵は彼を睨んで、「うるさいわ、指示がなければお前は黙って待ってればいい!」と不満に言った。ボディーガードは悔しそうに視線を戻した。静恵は指を噛んで、しっかりと友里子を見張った。そこはMK社の近くだが、晋太郎の部下はよくも自分たちが探している人はすぐ傍にいると気づかなかったのか??友里子の動きに合わせて、静恵は携帯でその画面の写真を撮った。静恵はその写真を晋太郎に送るかどうかで迷っていたうち、紀美子は電話をしながら彼女の車の前を通った。静恵は一瞬動きが止まり、紀美子が微笑んでコーヒーショップの前であの女性と会話するのが見えた。なぜ紀美子が晋太郎が探している人を知っているのか??晋太郎は彼女を探している、通常なら紀美子はそれを知っているはずだ。しかし明らかに晋太郎は自分が探している人は紀美子の傍にいるのを知らなかった