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第181話 慣れているのかな

 幼稚園にて。

クラスの休憩が終わると、子供達は先生に導かれて水を飲みに教室に戻った。

水筒を手に取ると、森川念江は鼻先が潤んだ感じがした。

彼が反応する前に、入江ゆみが叫んだ。「念江お兄ちゃん!血がっ!!」

入江佑樹もこちらに振り向いて、念江が鼻血が出たのを見て、慌ててティッシュで塞いでやった。

そして、ゆみは大きな声で叫んだ。「先生を呼んでくる」

念江はティッシュで鼻を抑え、佑樹の裾を掴んで首を振った。「大丈夫だ」

佑樹は眉を寄せた。「大丈夫じゃないって」

「本当に大丈夫だから」念江は佑樹の話を遮り、「多分水分不足で、乾燥しただけだと思う。大丈夫だ」と答えた。

ゆみは心配そうに、「念江お兄さん、前もこんな風に血が出てたの?」と聞いた。

念江は口をすぼめて、「昨日の夜も出てたけど、すぐに止まった」と答えた。

その話を聞いて、二人の子供はやっと安心した。

恐らく以前にも同じ状況があって、クズ父が彼を連れて診てもらってたはずだ。

暫くして、念江の鼻血が止まったの見て、二人の子供の心配が漸く収まった。

夜、ジャルダン・デ・ヴァグにて。

森川晋太郎は3人の子供達と一緒に晩ご飯を食べてから書斎に行った。

杉本肇の調査結果から、Tyc社の法人はなんと入江紀美子であることが分かった。

彼女は一体どうやって5年以内にあんな巨額な資金を調達して服飾会社を立ち上げたのだろう?

彼が確定できたのは、Gと紀美子との関係は絶対普通ではないことだ!

残念なことに紀美子が失踪していた5年の間の出来事は、一切手掛かりを掴めなかった!

目下唯一分かっているのは、前回露間朔也が教えてくれた情報だった。

紀美子は服装のデザインにおいては才能があり、彼に大いに協力をした。

まさか同業者だから、紀美子はGと知り合ったのか?

資料を一通り読み終わった晋太郎は、ソファに座ってあざ笑った。

彼は、そのGが紀美子の成功祝いの宴会に現れるかどうかを見てみたかった。

そこまで考えると、彼は携帯を出して肇に電話をかけた。

電話が繋がり、晋太郎は低い声で肇に聞いた。「お前は午後紀美子の会社は明日、祝いの宴会を開くと言っていたよな?」

肇「はい、若様。明日の午後6時、スウィルホテルです」

「明日の夜の会食をキャンセルしてくれ」晋太郎は肇に指示した。

肇は少し戸惑った
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