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第5話

私の会社がある経済開発区の位置は比較的辺ぴなところで、夜7時を過ぎると、そのあたりの工場地帯にはほとんど人通りがないのだった。

家に唯一の車は林原光一が運転していた。

私も電動自転車に乗れないので、毎日自転車で通勤しなければならなかった。

林原光一に仕事が終わったら迎えに来てほしいとお願いしたが、毎回彼はいろいろな理由で断られた。

仕事が忙しいか、彼の方が早く仕事が終わって家に帰ってご飯を作らなければならないから、迎えに行く暇なんてなかった。

私は彼に車を貸してほしいと言ったが、彼が理由を探そうとしたところ、林原千代から電話がかかってきた。

私は彼が電話で「安心して。兄さんは毎日車で迎えに行くから」と約束するのを聞いた。

林原千代の勤めている病院は私たちのアパートの通りを挟んだ向こう側にあった。

車がまだ動き出す間もなく着いてしまうのだった。

私は不満で、彼とけんかを始めた。

「あなたはもう結婚しているのに、千代ちゃんはまだ未婚の若い子だよ。もし何か悪い人に遭ったら、亡くなったおじさんとおばさんにどうやって説明するか」

では私は?

私が何かあったら、海外にいる私の両親にどうやって説明するか?

それとも私の安全に対して責任を負う必要がないと思っているのか?

私が譲らないのを見て、林原光一は道徳を持ち出して私を説得し始めた。

「あなたは彼女のお姉さんで、母のようなものだ。どうして千代ちゃんに少し譲ってあげられないの?

彼女は主刀医なんだ。彼女の安全はもっと多くの人に関わっている」

ある日、仕事が終わったのはもう8時過ぎだった。

私は一人で自転車に乗って苦労しながら家に向かっていた。

街灯が壊れているあの道を通った時、突然誰かが私をつけているような気がした。

振り返ってみると、男が一台の古い自転車に乗って、遠くもなく近くもなくついてきていた。私がスピードを上げると、彼も速くなり、私がスピードを落とすと、彼も遅くなった。

私は近道をしようとこの辺ぴな道を通ったことを後悔し、全速力で大通りに向かって自転車を走らせた。

慌てて斜め前から曲がってきた車に気づかず、もう少しでぶつかるところだった。

その日家に帰って、林原光一に誰かが私をつけていると言った。

しかし彼は私が疑心暗鬼で、ナルシストだと言った。

私が彼と言い争おうとしたと
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