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第4話

「ウソ、冗談じゃない。菊池美奈は今海辺で海風を浴びながら海鮮を食べているんだ」

「林原さんの今の気持ちを理解しているけど、菊池さんは井上さんのアシスタントで、彼らの会社の最初の虹彩テストデータに彼女のデータがある。

そして、井上さんも林原さんの同僚も女性の死体が奥さんに酷似していることを確認している。

もし必要だと思うなら、私たちは監察医にさらなる解剖を行わせる」

林原光一は突然ゲロを吐いて床いっぱいになった。

彼が当時解剖台の上にあった白骨と赤い肉、そして皮膚がめくれて、蝋と血が混ざってポタポタと床に流れている死体を思い出しただろうと思った。

本当にごめんね、林原光一。私は死んでもあなたを気持ち悪くさせられた。

電話を切って林原光一はすぐに解剖室に飛んで行こうとしたが、止められた。

「申し訳ない、林原さん。林原さんの職業が今回の事件の調査に関わっているので、死体に触れることはできない」

林原光一は目を丸くして、警察官に向かって大声で怒鳴った。「あなたたちは俺を疑っているの?!俺が妻を蝋人形にしたと疑っているの?!」

林原光一と林原千代が海辺で休暇を過ごしている間、警察はまた一つの蝋人形にされた女性の死体を発見した。

比較した結果、彼らは今回の犯人の犯行方法が熟練していないことに気づき、練習しているように見えた。

そのため、彼らは犯人の職業を蝋人形師に特定した。

「最初の女性の死体の蝋の分布は均一じゃない。頭皮には大面積の出血がある。

そして二つ目の女性の死体......」警察官は少し間を置いて、続けて言った。「蝋の分布は均一だし、体の中の臓器もきれいに取り除かれて、残っていない。

犯人は熟練したベテランに違いない。そうでなければ、こんなに落ち着いて、熟練して被害者の髪を一本一本抜いて、そしてウィッグを一本一本接着することはできない」

「もういい、言わないで」

林原光一は頭を両手で押さえて、ずっと首を振っていた。

私は彼を見て、とてもおかしいと思った。

当時彼が監察医を助けて私の体の蝋を剥がしている時はこんな様子ではなかった。

とても落ち着いていた。

今こんな様子をして誰に見せているの?

だって、私が蝋人形にされる前、彼には私を救うチャンスが三回もあった。
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