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第4話

私は振り返り、暗闇の中に立つ母を見た。携帯電話の青白い光が彼女の顔を不気味に照らし出し、まるでホラー映画の一場面のようだった。

「お母さん、私は携帯料を払い忘れて、いま携帯が使えなくなっているの。だからお母さんのを借りて支払うつもりだけだよ」私は冷静を装い、そう言った。

「そう?終わったら、ちゃんと元に戻しておきなさいよ」母はそう言い残して、部屋に向かった。

ほっと息をつこうとした瞬間、母の声が再び響いた。

「そうだ!」

母の足音がリビングで止まった。

「料金を払ったら、ちゃんとその分のお金を返してね」

「う、うん……わかった」

母が部屋に戻ると、私は急いで情報を調べ、アカウントを切り替えた。やっぱりあった。あのライブ配信に登場したサブアカウントだ。

私はスクリーン録画を開始し、そのアカウントの本人確認情報や電話番号、そしてDMのやりとりをすべて記録した。

それらを自分の携帯に送信し、母の携帯から操作の履歴を完全に消去した。

全てが終わると、私は部屋に戻った。しかし、夢の中で誰かが私の頭を撫でているのを感じて、驚いて目を覚ました。

そこには、母が私のベッドの脇に座っていた。

「お母さん!何してるの?」私は、もしかして母にすべてバレてしまったのではないかと、心臓がバクバクと跳ね上がった。

母は長い沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。「ただ、あんたの顔を見ていただけよ。もう寝なさい、今日子」

その言葉と優しい眼差しは、本物のようで、まるでいつも姉を見ているときのような温もりがあった。

私は母が部屋を出て行く背中を見送りながら、再び眠ることができなかった。恐怖が私を襲い、前世で下水道に突き落とされた瞬間が蘇ってきたのだ。

迷った挙げ句、もう警戒されても構わないと決め、その夜のうちに彼氏の家へと急いだ。

翌日、目を覚ますとすでに午後だった。携帯には数十件の不在着信と、明日香からのメッセージが山ほど届いていた。

「早く帰ってこい!」

「もう後戻りはできないよ!」

私は明日香に返事をせず、証拠の整理を始め、パワーポイントを作成し始めた。

その夜8時、明日香はライブ配信を開始し、涙を流しながら話し始めた。

「みなさん、みなさんの意見を受けて、本当のことを言うわ。」

「実は、あのコメントは全部、妹が私の携帯を使って書いたものなんだ。妹が私
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