第6話

「瞳、一体どうしたんだ？裕也のことについて本当に申し訳ない。彼が私たちの間で永遠にしこりになる必要があるのか？」

事態がここまで進んでも、前田修一は自分の過ちだとは考えていなかった。

そうだ、これまでずっと私は卑屈な立場にいたから、彼は私を心に留めることはなかった。

「つまり、あなたの言う『用事』は久佳の産前検診に付き添うことだったのね？」

「それともずっと私が愚か者だと思っていたの？何を言っても、何をしても、私はあなたを許し、信じ続けると？」

「今の私のこの従順で物分かりのいい姿こそが、あなたが望んでいたものではないの？」

前田修一は、私が今日彼が久佳と一緒に産前検診に行ったことを知っているとは思ってもいなかった。

彼の目に驚きと疑念が一瞬よぎり、私がどうしてそのことを知っているのか考えているようだった。

次の瞬間、私は彼を完全に玄関の外へ押し出した。

「もし私がどうしてこれを知っているか気になるなら、あなたの初恋の人に聞いてみたら？」

前田修一が家に帰った時、強烈なタバコの匂いが彼の鼻をついた。

久佳は外の足音を聞いて、急いで二階から降りてきた。

前田修一の視線は、彼女の高い音を立てるハイヒールに落ちた。

久佳の顔には微笑が浮かんでいたが、その目には一瞬の驚きが走った。

「修一さん、お帰りなさい。あなたがいない間、ずっとあなたのことを思っていました」

久佳の一瞬の驚きは、一見短いものであったが、最終的には前田修一に見逃されることはなかった。

前田修一は男性だが、妊婦がハイヒールを履いたりタバコを吸ったりしてはいけないことは理解している。

理論的には、久佳は今妊娠初期であり、胎児は本来不安定だ。

それなのに、彼女はまだハイヒールを履いて走り回っている。このことが、前田修一の心に一抹の疑念を生じさせた。

彼は思わず、私が妊娠したと知った時のことを思い出した。

その時、私も初めて母親になることを知り、ハイヒールや化粧品をすべて脇に捨てた。

お腹の子に悪影響を与える習慣があるかもしれないと恐れたからだ。

私の慎重な様子と、今の久佳の姿が対照的であるため、前田修一は心の中で疑念をさらに深めた。

久佳は、前田修一の疑念に気づいたようで、自ら口を開いて説明を始めた。

「最近、ストレスが溜まりすぎてタバコを吸ってしまったんです。修