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第3話

お腹の子を堕ろした時、私の心は異様に重たかった。

この子は来るのが少しばかり早すぎた。私も前田修一も、適切な親ではなかった。

しかし、理性では深く考えている余裕はない。今は息子を埋葬することが最優先だ。

息子のために良い墓地を選んでいると、前田修一から電話がかかってきた。

電話に出るや否や、彼の厳しい問い詰める声が聞こえてきた。

「前田瞳、君もやるな。本当に妊娠を装って僕に許しを請うとは、一体どこまで恥を知らないんだ?」

「君の策略はますます本物らしくなっているな。僕が病院からメッセージを受け取るなんて!」

私と前田修一が結婚した後、彼は「温かい家庭が欲しい」と言った。

そのため、私は仕事も社交も諦めて専業主婦となった。

前田修一が私の中絶手術の情報を受け取ったのは、私のすべての情報が彼の名義に紐づけられているからだ。

私はすぐに以前の親族情報を解除し、私たちの結婚指輪を投げ捨てた。

「修一、あなたの言う通りだわ。私はあなたと同じ考えをしている。子供を利用してあなたを計算していたのよ。この答えで満足?」

「それなら、あなたの望み通りに離婚しましょう。私は自ら、あなたの愛する初恋のために場所を譲るわ」

電話を切ろうとした時、向こうから久佳の声が聞こえてきた。

「修一さん、怒らないでください。もし瞳さんが本当に妊娠していたら、一緒に検査に行ってみましょう」

「瞳さんが本当に妊娠していたら、私も一緒に子供の世話を手伝いますよ」

久佳は心の中で計算していた。もし私が妊娠していたら、それを利用して前田家での立場を強固にしようと。

彼女が以前の恋人と海外で散財した影響なのかもしれない。

今回、彼女が帰国してからも修一と何度か関係を持ったが、なぜか彼女のお腹には何の反応もなかった。

修一は優しく久佳の頭を撫で、「心が優しくて理解がある」と笑顔で称賛した。

次の瞬間、彼は私の現在地を尋ねたが、私は答えなかった。

私は彼が息子の葬儀に現れることを望んでいなかった。彼にはその資格がないからだ。

「息子があなたのような父親を持つことは彼の恥だ。私の子供が久佳を母親と認めるなんて、夢のまた夢よ!」

前田修一の心の中では、私は彼に常に従順である存在だった。

彼は私の心が全て彼に向けられていることを知っていたため、その愛情に依存しながら私の限界を少しずつ試していた。

これが初めて彼の決定に反論した瞬間であり、前田修一にはそれを受け入れることはできなかった。

なぜか、彼の心には一抹の不安が生まれていた。

今回、自分が私を制御できないことを感じ取った前田修一は、息子の件で私を脅し始めた。

「瞳、俺が普段お前に優しすぎたせいで、自分の立場を忘れてしまったのか?」

「もう一度でも俺に逆らうなら、お前の障害のある息子の足の治療を今すぐ止めるぞ、信じるか?」

私は空を見上げ、涙が止まらずに流れ続けた。

神様、ああ神様、私の心はもう死んでいるはずなのに、なぜ涙がまだ流れるのだろう。

息子が命を懸けて守った父親は、その彼を障害者だとして嫌悪した。

「治療をやめる必要はない、修一。息子はもう死んだわ」

「彼は、あなたが自分を誘拐されたと偽ったせいで、救いに行く途中の土砂崩れで命を落としたのよ」

言い終わると、私は自ら電話を切った。

前田修一の心は一瞬で重く沈み、彼は執事に私の居場所を確認するように指示した。

彼が駆けつけた時、彼は自らの目で息子が埋葬されるのを目撃した。

彼は信じられないまま目の前の光景を見つめ、私が言った言葉が頭の中で何度も繰り返し響いていた。

「治療をやめる必要はない、修一。息子はもう死んだわ」

「彼は、あなたが自分を誘拐されたと偽ったせいで、救いに行く途中の土砂崩れで命を落としたのよ」

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