第2話

私は呆然と外に立ち尽くしていた。

兄が私を家から追い出すと、大きな扉が力強く閉まった。

義姉のせいで、兄は私を家から追い出した。

しかし、私はどこに行けばいいのか分からなかった。

背後には万家の灯火があったが、どこも私の居場所ではなかった。

子供の頃、兄の冷たい態度のせいで、私は自閉症を患った。

そのため、私が小学校に入る頃まで、話すこともできなかった。

先生は兄に私を診てもらうように勧めた。

医者は私が生まれつき自閉症であると言った。

兄は冷笑しながら言った。

「自閉症だって？この子は他人の注意を引くためにわざと演技しているだけだ。俺は無視するから、どれだけ続けられるか見てやる！」

その後、兄は私のために心理医療の手配もせず、特別支援学校に転校させることもしなかった。

三年生のとき、クラスメートたちは私が話さず、いつも一人でいることに気づき、私を変わり者だと見なした。

それ以来、私はいじめられる学校生活を送ることになった。

このことを兄に話したこともあったが、彼は私をかわいそうには思わず、逆に私を責めた。

「自分のことをよく考えろ。片方だけで音は鳴らない。他の子はいじめられず、何でお前だけが狙われるんだ？」

過去のことを思い出すたびに、私はますます不満を感じ、ただ呆然と家の前に縮こまって、静かに泣いていた。

どれくらいの時間が経ったのか分からないが、義姉が服を乱して帰ってきた。

彼女は私を見て、嫌悪感を示したが、わざと心配そうに声をかけた。

「月穗、どうしたの？家に帰らないの？」

その瞬間、兄がドアを開けて冷淡に言った。

「冉鈴、お前は優しすぎる。彼女には関わるな。彼女が何をしたか、彼女自身が一番分かっている！」

義姉は理解できない様子で尋ねた。

「彼女は何をしたの？」

兄は私が紙に書いたものを見せて言った。

「ほら、俺は早くから月穗の思惑に気づいていた。まだ小さいのに、こんなことを書いて俺たちの関係を引き裂こうとする。さっき彼女にはチャンスを与えたんだ。謝れば家に入れてやると言ったのに、謝らなかったのは彼女自身の選択だ！」

義姉の顔は一瞬で青ざめ、私を見る目が変わった。

彼女は続けて言った。

「月穗、どうしてそんなことを言って私を貶めるの？私は普段、あなたに悪くしているわけではないじゃない？」

兄は義姉を優しく抱き寄せて言った。

「彼女のことは気にするな。外に置いておけば、彼女にもいい教訓になるだろう。」

再びドアが閉じられた。

ドアの隙間から見えた最後の一瞬、義姉の怨恨に満ちた視線が私を突き刺した。

私は思わず身震いした。

夜が深まり、兄は私を家に連れて帰る気配を全く見せなかった。

眠気が襲ってきて、私はゆっくりと口を開いた。

「兄さん、どうして私を信じてくれないの…」

突然、粗い麻袋が悪臭を伴って私の頭上に降ってきた。

私は反応する間もなく、誰かに強引に車に押し込まれてしまった。

再び目を覚ましたとき、私は見知らぬクラブにいた。

手は後ろに縛られ、身動きが取れない。

目に飛び込んできたのは、義姉の愛人だった。

彼は「渡辺豪司」と呼ばれ、豪司兄さんとみんなに呼ばれていた。

私が目を覚ますと、豪司は私の頭にかぶっていた麻袋を引き剥がし、薄気味悪い笑顔を浮かべた。

「小さな子、君は結構大胆だね。兄に告げ口するなんて、勇気があるじゃないか？」

私は恐怖で隅っこに縮こまった。

意識が朦朧とする前の記憶が再び脳裏に浮かんできた。

私は一対の革靴が目の前に現れたことしか覚えていなかった。その後、麻袋が私の頭にかぶせられた。

この瞬間、私は自分が誘拐されたことをようやく理解した。