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第2話

すぐに私はその考えを否定した。それはありえない。

江崎博史と私は7年間一緒に過ごしてきた。彼は私のために家族全体に逆らい、江崎家のすべてを捨てて、私を連れて京市を離れた。そんな彼が私を裏切るなんて信じられない。

「江崎博史は私の夫です。絶対にあなたの彼氏ではありません。何かの誤解があるに違いありません。彼はすぐここに来るはずだから、直接話して確認しましょう」

この言葉を聞いて、小金井珠美は私の手にヒールをさらに強く押し付け、顔が一層険しくなった。

「私の彼氏が七夕の日に私を裏切ってお前と会うなんて、さぞ嬉しいでしょう?」

「今すぐお前の服を脱がせて、その淫らな体をみんなに見せてやる!」

その瞬間、彼女は人の皮をかぶった悪魔のように見えた。

小金井珠美はさらに笑みを深め、「みんな、脱がせろ!」と命じた。

無数の手が私の服を引き剥がそうと襲いかかる。私は残り少ない力で腕を持ち上げ、必死に体を守ったが、無駄だった。

あっという間に私の服は引き裂かれ、ほとんど裸の状態で人前にさらされた。

心の中は絶望でいっぱいだった。

小金井珠美は手を振り上げ、私の体に叩きつける。「このビッチ、意外といい体してるじゃないか。だから博史を虜にして子供までできたんだな」

彼女は私が必死に隠そうとする腕を引きはがし、「さあ、みんなに見せてやろう。この淫らな女の正体を。これで誰もお前なんか相手にしないだろうよ!」と冷笑した。

私は絶望の中で涙を抑えきれず、頬を伝って流れ落ちた。

そんな私を見て、小金井珠美は声を上げて笑う。「この淫らな女、泣いてるね!」

彼女の仲間たちも嘲笑する。「次はもう二度と他人の彼氏に手を出せないだろうね」

「この様子を写真に撮ってネットに晒してやる。浮気女の末路をみんなに見せるんだ」

涙で視界がぼやけたが、彼女たちの醜い姿だけははっきりと心に刻まれた。

私は一言一言かみしめるように言った。「あなた、絶対に後悔させてやる。私は必ず代償を払わせてやる」

小金井珠美はそれを聞いて、まるで面白い冗談を聞いたかのように笑った。「この卑しい愛人が、私にどんな代償を払わせるって?」

「その顔でまた男を誘惑するつもりか?今日こそその顔をズタズタにしてやる!」

彼女の仲間の一人が、テーブルの上から銀色のナイフを手に取り、小金井珠美に手渡した。

小金井珠美の狂気に、さっきまで見ていた周囲の人々も散り始めた。自分たちにまで被害が及ぶのを恐れたのだ。

銀色のナイフが私の顔の前でちらつく。しかし、私はもう何も怖くなかった。お腹の子供を失うことに比べれば、何も怖いものなんてない。

そんな時、耳に聞き覚えのある着信音が届いた――江崎博史からの電話だった。

私は電話に希望を見いだし、必死に手を伸ばして電話を取ろうとした。

だが、もう少しで触れた瞬間、小金井珠美が私の手をヒールで踏みつけた。

私は彼女を冷たく睨みつけ、「小金井珠美、あなたが江崎博史の彼女だと言うのなら、この電話に出て彼と話してみる勇気はあるの?」と挑発した。

小金井珠美は鼻で笑い、「私が怖がるとでも?」と言いながら、素早く電話を手に取った。

私は彼女が画面に指を伸ばし、電話に出ようとするのを緊張して見守った。

電話が繋がりさえすれば、すぐに助けを求めるつもりだった。博史なら、きっとすぐに駆けつけてくれると信じていた。

しかし、小金井珠美は電話を取るやいなや、指を上にスライドさせ、通話を切ってしまった。「助けを呼ぶなんて無駄よ」

彼女はそのまま電話を後ろに投げ捨て、「江崎博史は今、お前に夢中なの。私と別れることまで考えてるくらいだもの。だからお前の味方をするに決まってる」

「でも、お前の顔をズタズタにすれば、彼はきっと私の元に戻ってくるわ」

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