第4話

この一件があってから、父が私を呼びつけて小言を言い始めた。「綾子、お前と大輝はもう10年も付き合っているんだから、彼がそんな人だと思うか？誤解しているんじゃないのか？」

私は彼が佐々木愛里を見たときの目つきや自分の直感を思い出し、すぐに反論した。「お父さん、男なんて、飽きるもんだよ！」

父は「彼はしっかりした男で、そんな軽はずみなことをするような奴じゃない！」と憤慨した。

母も「そうよ、綾子。彼女は恩師の娘なんだから、恩返しのためかもしれないじゃない？」と助け舟を出した。

......

私はなぜそこに気づかなかったのだろうか。

中村大輝はこの家に10年近く住んでいた。優しい性格の両親が、たとえ人間じゃなくても、10年も一緒に過ごせば、野良猫や野良犬でも情が湧くに違いない！

ましてや、中村大輝は歯科業界でもそこそこ有名な人物。父と母は彼をもうほとんど自分の息子のように扱っている！

はあ、いいわ。見せてあげるわ、中村大輝の真の姿を！

中村大輝は私の両親から私が気持ちを和らげていることを察知し、今日は珍しく直接私の勤務先にやってきた。「綾子、これを君に」と言って、何かを渡してきた。

私は一瞥して、すぐに彼の前に押し返した。「まさか私が一番嫌いな食べ物が卵だって知らないわけじゃないでしょうね？」

その時、佐々木愛里がタイミングよくドア口に現れ、慌ててその袋を掴み取って、「ごめんなさい、知らなかったんです......」と謝ってきた。

はっ。

中村大輝は私が佐々木愛里をじっと見ているのを察し、急いで言い訳した。「綾子、君が嫌いなら食べなくていいよ。愛里ちゃんも好意でやっているんだから」

私は冷笑し、ペンで彼女の胸にかかった名札を軽く叩いた。「副院長アシスタント、佐々木愛里？」

中村大輝はすぐに「君が信じないなら、彼女を君の目の届くところに置くよ。何をしているか、君はいつでも見られる。それで納得するだろ？」

......

この男、自分の都合のために、こんなにもっともらしい理由を考え出すなんて！

私は白目を向いた。「私の両親があんたを信じているからって、私まで信じると思うなよ。その手には乗らないから！

それに彼女？私が警戒する必要があるとでも？自分がどれほどの価値があるかも分かってないんじゃない？」

「あ......あなた......」佐