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第5話

警察がすぐにやってきた。

彼らはそれぞれの状況を確認した後、ママに向かって言った。「お子さんに会えますか?」

パパは横で冷笑しながら言った。「ふん、自分で警察を呼んだんだろう。証拠は映像に残っているし、俺は実の父親だ。息子を冤罪にするわけがない。さっさとあのクソガキを出して、静に謝らせろ!」

ママの目には復讐の快感が一瞬よぎった。「警察さん、こちらへどうぞ!」

黒い布が少しずつめくられ、「僕」が入った小さな箱が露わになった。白黒の写真には、僕が笑顔で写っている。これはママが初めて僕を遊園地に連れて行った時に撮った写真だ。

「これは……」警察官はお互いに目を合わせ、どう言えばいいのか分からなかった。

ママの目には恨みが宿っていた。彼女はパパの目をじっと見つめ、はっきりと告げた。「私の息子は三日前に亡くなり、すでに火葬されました。遺灰はここにあり、私は死亡証明書と火葬証明書を持っています。それでは……こちらの男性にお聞きしますが、どうして私の息子が昨日、商店街に現れ、静さんに硫酸をかけたと言えるのですか?」

「これが冤罪でなくて何だというの!」

ママは冷静に話したが、その目には痛みが宿っていて、二人の警察官もそれを見て同情の表情を浮かべた。

子供が亡くなって三日も経っているのに、父親はそれを知らず、さらに自分の子供に冤罪の罪を着せ、外部の人間と結託していたなんて、ああ……

パパの顔色は一瞬で変わった。僕は彼が自分の過ちに気付いたのだと思ったが、すぐに彼の目にはまた嫌悪の色が戻ってきた。

「陽子、お前は本当に気持ち悪い!息子をかばうために、死んだなんて言い出して。お前なんか、母親の資格があるのか?」

「この箱に一体何が入っているか、俺が確かめてやる!」

そう言いながら、パパは手を伸ばし、箱を地面に叩きつけた。

箱が床に落ちた瞬間、ママの悲痛な叫びが耳をつんざいた。

二人の警察官もまさかパパがこんなことをするとは思っておらず、驚いて一瞬固まった後、左右から彼を取り押さえた。

それでも、パパは地面に散らばった遺灰を蹴飛ばそうとした。

「ふん!なんだこれは!陽子、お前に言っておく、さっさと息子を引き渡せ。死んでるなら、俺がその骨灰を撒いてやる!」

ママは崩れ落ち、果物ナイフを掴んで叫んだ。「安藤健一!お前は地獄に落ちる!殺してやる!」

パパ
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