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第96話

30分後、時也は商治から電話を受けた。

「さっきまで会議中だったのか?」商治はげっぷをして、「賀茂哲郎が俺に電話をかけてきてさ、腎臓の提供者を探してくれって言うんだ。前に探さないって言ってたのに、どうしてまた探し始めたんだ?」と聞いた。

時也はまだ怒りが収まらず、声を抑えて答えた。「それはお前の問題だ」

「いや、待てよ」商治は急いで言った。「前に言ったけど、あいつの愛人の病歴、ちょっと変なんだよ。探さないって言ったときはホッとしたんだけど、もしまた探すなら、俺もその病歴を再度確認しないといけないから、はっきりさせてくれよ。探すのか、それとも探さないのか?」

時也はそのまま電話を切った。

商治はすぐに察した。これは「手伝わない」という意味だ。

5分も経たないうちに、今度は茂哲郎からの電話がかかってきた。

商治は華名の病歴を取り出し、何か適当な理由を見つけて哲郎を断ろうとしていたが、突然一枚のデータグラフに目が留まった。

そのグラフは、一年間の血圧測定データを統合したもので、最初の数ヶ月は低血圧状態だったが、途中の数日間は血圧が正常範囲に戻り、その後再び低血圧に戻っていた。

グラフは細かく折り重なっており、よく見ないと気づかないほどだ。

しかし、通常、腎不全の症状の一つとして低血圧があるため、血圧が突然正常範囲に戻ることはあり得ない。

商治は哲郎の電話を断り、賀茂家の私立病院の総院長である方院長に電話をかけた。「山下先生、南雲華名が入院してからのすべての記録を送っていただけますか?最近のものも含めてお願いします」

山下先生はすぐにデータを送ってきた。

商治は特にその数日間のデータを調べ、他の数値も正常範囲内にあることを発見した。

これはおかしい。

......

華恋は今回のデザインを完成させ、問題がないことを確認した後、すぐにコンテストの運営委員会に送信した。

送信後、華恋は急に虚しさを感じた。

ここ数日間、デザインに没頭していたため、時也と瑶葵のことを考える時間もなく、日々はあっという間に過ぎていった。しかし、今は暇になり、何をすべきかもわからず、頭の中がまた混乱し始めた。

彼女は思い切って水子に電話をかけて遊びに誘った。

今日は日曜日で、どこも混雑していた。

水子は提案した。「最近、新しいシーフードレストランがオープンしたん
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