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第6話

翌朝、ホテルの部屋から出ると、廊下のドアの前に将太が座り込んでいたのを見た。彼は私が出たのを気づいて、急いで立ち上がり、緊張した表情で言った。

「離婚の話じゃないなら、出て行って」

「ゆみ、もう一度だけチャンスをくれないか?」

「将太、まだそんなふうにするつもり?離婚すれば、あの女と一緒になれるから。嬉しいでしょ?」

「本当に子供たちには話さないか?噂を広めるのもしないか?」

この年老いてなお端正な姿を見つめながら、かつてなぜ彼に惹かれたのかが不思議に思えてきた。

「余計なことはいいから、今すぐ離婚届にサインして。さもなければ、学校であなたのことを大きく暴露してやるから」

彼はついに離婚に同意した。

私が彼の名誉を保つ条件で、彼はすべての財産を私に譲渡し、手ぶらで出て行くことになった。

一か月後、市役所で再び会い、離婚証明書を取得して私たちは完全に別々の道を歩み始めた。

遠くには、ひばりの車が見えた。

彼の不動産の売却は面倒だと思い、すべて賃貸に出した。

五、六軒の家賃収入だけでもかなりの額になり、裕福に生活できるだろう。

その後、私は故郷へ戻った。

長いあいだ投稿を中止していたが、新しい生活を始め、猫を飼い、庭で野菜を育てる日常をSNSで共有すると、予想以上に多くの人が共感してくれた。

「いいね」が100万件を超え、フォロワーが数万人に増えた動画もあった。

その日、自分へのご褒美のためにケーキを作った。

ゆっくりと味わっているところ、不意に息子が怒鳴り込んできた。

「お母さん、本当にお父さんと離婚したのか?俺が最初に反対したのに、こんなことをして、恥をかかせるなんて......」

「前にも言ったけど、私はお前の許可なんていらないの。私は私の人生を生きるから」

息子は顔を赤らめて声を荒げたが、次第に落ち着きを取り戻し、「お母さん、前回は俺が悪かった。ごめんなさい。一緒に家に戻ろう」と懇願するように言った。

「ここはお母さんの住むべき場所じゃない。高層マンションを離れて、こんなぼろぼろのところに住むなんて。買い物も不便だろう」

「ここでは、毎日家政婦のように働かずに、空気を読みながら過ごす必要もないから。食事も美味しいし、よく眠れるの」

「お母さん、広ちゃんも母さんに会いたがっているんだ。俺たちみんな忙しすぎて、お母さんが
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