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だから、あなたの親友と四十年間浮気したぐらいのことで、離婚する?
だから、あなたの親友と四十年間浮気したぐらいのことで、離婚する?
著者: 金本隼子

第1話

その画面を見つめ、手に握ったマウスが震えた。

それぞれの動画には日付が細かく記録されている。

白髪の彼は、同じ白髪の親友を抱きしめ、首に愛おしくキスをし、彼女の体に優しく触れていた。

最初の動画に戻ると、画面はぼやけており、懐かしい雰囲気が漂っていた。彼らの顔は若く、今よりずっと若いことが一目で分かる。

ベッドの脇には、私と平井将太の結婚写真が置かれていた。

だが、ベッドの上で彼に服を荒々しく脱がされているのは私ではない。

彼は親友を抱きしめ、まるで一体になろうとするかのようにしっかりと抱き合っていた。

私はそれを見て、力を失い、床に崩れ落ちた。圧倒的なショックが押し寄せ、息が詰まりそうになった。

口を大きく開けて息を吸おうとするも、酸素がまるで胸に入ってこないようだった。

涙が手の甲に一滴ずつ落ちていった。

彼が初めて「できない」と言ったとき、私は迷っていた。しかし、彼を見捨てることはしなかった。

彼のために、私は40年間耐えてきた。それなのに、これがすべて嘘だった。

私が忙しく親と子供の世話をしている時も、夜更けに孤独に耐えている時も、彼は私の一番の親友と愛し合っていたのだ。

時には彼に抱きしめてほしいと頼んだが、彼はずっとしてくれなかった。

親友のために「純潔」を守っていたんだろう。

私はどうしてこんなにも冷酷なのかと彼を憎んでいる。。40年間、どうしてこんなに完璧に私を騙し続けられたのかとずっと考えている。

もっと難解なのは、もし私を愛していなければ、なぜ私を捨ててあの人と一緒に生きなかったのかということだ。

なぜ、最愛の友人と一緒になって私を裏切り、私の人生を台無しにしたのか。

頭の中は、もつれた縄で縛られたように痛み、混乱していた。

私は立ち上がり、すべての引き出しを探し始めた。真実を知りたかったが、何も見つからなかった。

結婚前に将太が付き合っていた女性がいたことを思い出し、そして結婚することが向こうの両親に反対されたと聞いたが、詳しい理由は聞かなかった。

私は彼の姉に電話をかけた。

彼女は私の泣き声に気づいたが、私は平静を装って聞いた。

「お姉さん、大丈夫よ。ちょっと気になったんだけど、将太が若い頃に付き合っていた女性、どうして両親はあんなに強く反対したの?」

「ああ、そのことかい?あの女性には子供ができなかったらしい。だから、必要なかったの」

それを聞いて、頭の中が真っ白になり、まるで雷に打たれたかのようだった。

電話が手から滑り落ち、床に落ちた。

山下ひばりもまた不妊だった。

彼女が私に義実家と自分の関係を隠すように言ったのも、彼女が一度も義実家に現れなかったのもそのためだった。

結局、将太は私を選んだのは、子供を産んでくれるからだった。

最初から彼らは私を騙していた。ひばりが私に近づき親友になったのも、彼らの計画の一部だったのだ。

胸の奥に大きな穴が開き、そこから血がどくどくと流れ出していると私は感じた。

床に座り込み、窓の外の明るい日差しを感じながらも、冷たい寒気が体中の毛穴に染み込んでいくのを実感した。

遠くの青空と雲を見つめながら、この40年の人生を振り返ってみた。

一体何を間違えたのだろう?どうしてこんな結末になってしまったのだろう?

その間、息子からの電話があった。

「広ちゃんが肉団子を食べたいって、作ってくれる?」

そう言われると、孫が戻ってきたのが分かった。

私は何も言わず、電話を切った。

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