クールな婚約者が女性秘書の足を洗う
会社の公休のとき、櫻井文哉の女性秘書はSNSに投稿をした。
「昼間、会社で君が上で私が下であっても、夜になったら結局私の方が上になるじゃない!」
写真の中で、彼女はバラの花が敷き詰められたベッドの上に寝転んでいた。
いつも真面目だった櫻井は正座して彼女の足をマッサージしていたし、ポケットには真新しい金のネックレスも入っていた。
ちょうど今日の午前中、私は金を買って櫻井文哉に恋愛関係を公表して欲しいと頼んだ。
彼は快く金を引き受けたが、写真を撮る時に私のスマホを落として壊してしまった。
櫻井文哉の目の底には軽蔑が満ちていた。
「鏡がなくても、おしっこで自分の姿を映して見ないのか!
やっぱり母親が生んで育ててくれなかった卑しい女だ。俺を滅ぼすために何でもできるんだな」
その瞬間、私はこの五年間、彼の求める「会社内での恋愛禁止」というルールを守っていた自分が滑稽に思えた。
すると翌日、父にメッセージを送った。
「参った。家に帰って家業を継ぐことにした」
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