41.『よけいな気を遣わせてしまって、すみません。実は私、正直なところこんな田舎町まで夫が迎えに来るとは思ってませんでした。 男女問わず友達の多い人ですし。 そんなわけでまぁ、寂しさから迎えに来たかどうかは微妙です。 息子たちは理解があって、もしこのままずーっとこの地で暮らすことになっても、応援してくれると思うんです。 ここでの暮らしが殊の外《ことのほか》気に入ってしまって、もしかしたらこのままずーっと居続けるかもしれませんので、西島さん、今後とも仲良くして下さいね。』 「いえいえ、こちらこそ!そうですか、僕はてっきり半年かそこら、長くて1年くらいでここの暮らしを終えて家族の元へ帰られるものだとばかり思っていたので、正直少し驚いています。 僕もおそらく何か突発的なことでもない限りは畑を細々とやりながら、このままこの町で暮らすつもりですから畑はずっと使っていただけると思いますので、ご心配なく。 僕自身もここでは他所からの居住者(よそ者)ですから同じように他所の土地から移って来た人と接すると、正直なところほっとする部分があります。 まぁ、住めば都なんですけどね」 『私も知らない土地で不安だらけだったのにこちらに来てすぐに西島さんと再会出来たのは幸運でした。 しかも、念願だった野菜の栽培もすぐに畑をお借りしてできることになって、今でも嘘のようです。 コウやミーミと暮らせるようになったことも幸運でした。 この町は、私のLuckyそのものです。 このまま元気に働き続けて、この美しい山の里の近くの町でずっと暮らしていきたいと思ってるんですよ』 「それじゃあ、ご主人も寂しさに負けていずれ荷物背負って葵さんのところにやって来そうだな」 『……えっ!そういうの、全然考えてませんでした』 「なんか、女性の方が逞しいってことが分かりましたよ。ハハッ。」
Last Updated : 2025-04-15 Read more