確信したこの口ぶり。私と藍が幼なじみだって知ってるってことは……。「もしかして、柚子(ゆず)ちゃん!?」「そうだよ。わたし、円山(まるやま)柚子!萌果ちゃん、わたしのこと覚えててくれたんだ」「もちろんだよ~!」隣の席になった女の子・柚子ちゃんは、私が小学生の頃に仲が良かった友達。5年ぶりの再会に、私と柚子ちゃんは互いに手を取り合って喜ぶ。「柚子ちゃんも、この高校だったんだね」「うん。萌果ちゃんとまた同じ学校に通えるなんて、嬉しい!」私が福岡に引っ越すとき、柚子ちゃんは寂しいと泣いてくれて。手紙まで書いてくれた。当時は、お互いスマホを持っていなかったから。引っ越してから、連絡を取り合うことはなかったけれど。柚子ちゃんのことを忘れたことはなかった。「ねえ。こっちに戻ってきたってことは萌果ちゃん、久住くんとは会ったの?」柚子ちゃんに尋ねられた私は、言葉につまる。小学1年生のときに同じクラスになって仲良くなった柚子ちゃんは、私と藍が幼なじみで、私がいつも藍の世話を焼いていたのをそばで見ていたから。本当のことを言うべきかどうか迷った。だけど……。「いや。こっちに戻ってきてから、藍とは会ってないんだよね。福岡に行ってからは、連絡もとってなかったし」迷った末、私は藍とのことは柚子ちゃんにも隠すことにした。「そっかぁ。まあ、幼なじみって言っても高校生にもなれば、小さい頃みたいに仲良しってこともないよね。今や久住くんは、人気モデルだし」「そう、そうなの!いやあ、藍ったら会わない間にモデルになっててびっくりだよ」嘘をついてごめんと、柚子ちゃんに心の中で謝る。でも、今朝私は藍と同居のことは秘密にするって約束したから……!それから話題は藍から他へと移り、柚子ちゃんと会えていなかった5年間の積もる話に花を咲かせた。**始業式の今日は午前中に学校が終わったので、柚子ちゃんが校内を案内してくれることに。「ここの学校には、普通科の他に芸能科があるんだけど……」柚子ちゃんの説明を聞きながら廊下を歩いていると、2年A組の教室の前には何やら人だかりが。あれ?どうしてあそこの教室の前だけ、あんなに人であふれているの?しかも、いるのは女の子ばっかり。「ああ……あそこのA組が、今話してた芸能科のクラスだよ」「そうなんだ!」「だから、芸能科に自分の好きな俳
Last Updated : 2025-03-17 Read more