――四人で仲良くオレンジジュースを飲みほした後、お目当ての演目が上演されるシアターに入り、座席に座った。「この作品は、過去に何回も再演されてる人気作でね。なかなかチケットが買えないことでも有名なんだ」「まさか純也さん、お金にもの言わせてチケット手に入れたんじゃ……?」「さやかちゃん! 純也さんはそんなことする人じゃないよ。そういうこと、一番嫌う人なんだから。ね、純也さん?」 お金持ち特権を濫用(らんよう)したんじゃないかと言うさやかを、愛美が小さな声でたしなめた。「もちろん、そんなことするワケないさ。ちゃんと正規のルートで買ったともさ」「ええ。叔父さまはウソがつけない人だもの、信じていいと思いますわ」「……分かった。姪のアンタがそう言うんなら」 ブーツ ……。「――あ、始まるよ」 愛美は初めて観るミュージカルにワクワクした。舞台上で繰り広げられるお芝居、歌、音楽。そして、キラキラした舞台装置……。 カーテンコールの時にはもう感動して、笑顔で大きな拍手を送っていた――。 * * * *「――さっきの舞台、スゴかったねー」 終演後、劇場の外に出た愛美は、一緒に歩いていたさやかとミュージカル鑑賞の感想を話していた。 珠莉はと言うと、愛美たちに聞こえないくらいのヒソヒソ声で、何やら叔父の純也さんと打ち合わせ中の様子。「うん。あたし、あの作品の原作読んだことあるけど、ああいう解釈もあるんだなぁって思った。やっぱり、ナマの演技は迫力違うよね」「原作あるんだ? わたし、読んだことないなぁ。この後買って帰ろうかな」 今日の舞台の原作は、偶然にも愛美が好きな作家の書いた長編小説らしい。――もしかしたら、純也さんはそれが理由でこの舞台に誘ったのかもしれない。(……なんてね。そう考えるのはちょっと都合よすぎかな)「――さて、お買いものタイムと参りましょうか」 いつの間にか、純也さんたちも二人に追いついていて、珠莉がやたら張り切って声を上げた。 お買いものといえば、毎回テンションが変わるのが彼女なのだ。お金に不自由していないせいか、根っからのショッピング狂のようである。「ハイハ~イ☆ とりあえず、古着屋さん回ってみる?」 とはいえ、さやかもショッピングはキライじゃないので、愛美が気(き)後(おく)れしない提案をしてくれた。「うん!
Last Updated : 2025-02-14 Read more