とある暴力団組長のお家。 何から守っているのか不明だがやたらと塀の高い家がある。防犯カメラを四隅に設置して万全の構えのようだ。そして、出入りするのはゴツイ男ばかり。 ここは指定暴力団向山興行の社長宅だ。 クーカはそんな屋敷の塀際に来ていた。「……」 クーカは人通りが無いの確認すると、塀の上を見上げてから跳躍をした。どんなに高い塀も彼女の障害にはならない。 彼女はこの家の主に用があるのだ。 チョウの始末を依頼して来たのは向山興行の社長さんだ。しかし、素直に言う事を聞かない殺し屋に業を煮やして『殺す』と口走ってしまった。クーカは敵対する者を生かして置く訳にはいかないので始末する事にした。 つまり、彼女は殴り込みに来ているのだ。客では無いので玄関で出迎えてくれるとは思えなかったからだ。 塀を飛び越え手頃な樹の枝を経由して地面にフワリと着地する。それは猫が高い所から降りような感じだった。音をたてる事無く移動するのは訓練で嫌と言う程やらされた。 それは生存確率に影響するので厳しい訓練だったのだ。「?」 塀の上を飛び越える時に庭の様子を一瞬で見回した。敵地への偵察は優秀な兵士の印だ。脅威がある順番で敵を掃討しなければならないからだった。 しかし、ぱっと見では庭に人の気配が余り無かったのだ。自分が来る事は向こうもしている筈なのに不思議に感じていた。(逃げた? でも、家の中に複数の人間がいる気配がする……) 広めの庭には樹木が生い茂っている。月の灯りが無い時には真っ暗と言っても差し支えの無い様相だ。「……」 クーカが樹の間から様子を伺っていると男たちが十人程出て来た。そして、自分の方をじっと見ている。どうやら感知されているに違いない。(赤外線センサーだろうか?) 動物や人間などの発する熱を感知させる警報機だ。暗視カメラ程ではないが暗闇でも可視化する事が出来る。(赤外線ストロボを持って来れば良かったわ……) 赤外線に反応するのなら飽和させてしまえば良いのだ。赤外線ストロボはそれが簡単に出来る。(武器を持って無い?) 出て来た男たちを観察していたクーカが首を捻った。 男たちは上半身はシャツだけだった。この手の人たちは武器を隠すのにスーツを着たがる。「?」 仕方が無いのでクーカが暗闇の中から姿を現した。それは、闇を分けて出て来ると言
Last Updated : 2025-02-21 Read more