異世界で配信始めます〜滑舌が悪くなるスキルのせいで、魔王を倒すことになりました。勇者じゃなくて勇太なんだが?〜의 모든 챕터: 챕터 11 - 챕터 20

54 챕터

小休止

 ワイバーンとの激闘を終え、小休止をしながら食事を取ることになった。 この時点で視聴者数は千人を超え、登録者は三千人以上。今日貰ったマネーチャットとサブスク報酬を合わせたら、先月のバイト代を余裕で超えている。 周囲を見回すと、先の戦闘で少なからず怪我をした者が居たらしい。 肩を大きく抉り取られた騎士に、衛生兵がポーションを振りかける。緑色の蒸気が発生し、みるみるうちに傷口が塞がっていく。その上から包帯を巻いていた。現代医療も真っ青だ。 それ以外の騎士や魔法使い達は、火を起こしたり、鍋を準備したり、かまどを作って鉄板を敷いたりと、忙しなく動き回っている。「ユートルディス殿、知っての通り残虐の王ネフィスアルバは四天王の中でも最弱と言われておりますが、身の丈を超える巨大な魔剣による一撃が非常に強力です!」 そして俺はというと、なぜかランデルから四天王戦に向けての作戦を相談をされていた。 戦闘に関して何の知識も無いこの俺が、何を答えればいいのだろうか。突っ立ってればいいんだよとでも言わせるつもりなのだろうか。あまり頭に話が入ってこない。「ぢょりぇきゅりゃいきょうりょきゅにゃにょ?」※どれくらい強力なの? 知っての通りと言われても、こっちは前情報無しなんだよね。ヒューコンで探ってみても、ネフィスアルバは四天王ですとしか出てこない。ランデルから聞くしかないだろう。「ネフィスアルバが最後に姿を現したのは半年程前なのですが、その時は魔剣を振り下ろした衝撃波でライラットの街が消し飛んだらしいですな。まあ、ユートルディス殿なら楽勝でしょうが」 なるほど、剣で街を壊滅させる程度の相手か。 じゃあユートルディスならいけるかもね。 ……って、そんなわけあるか!「ひぇー、しょうにゃんりゃ……」※へー、そうなんだ……「そこでなのですが、ワシと騎兵でネフィスアルバの注意を引き、攻撃し続けることで隙を作ります。無防備となった奴の背後から、ユートルディス殿の強力な一撃で仕留める
last update최신 업데이트 : 2025-02-21
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食レポの才

「どうなされましたユートルディス殿? ワイバーンの肉は非常に美味でして、富豪達がこぞって買い集めるほどです。特にこの眼球は鮮度が命なので、滅多に市場に出回らない希少部位なのですぞ!」 ランデルが不思議そうな顔で、料理に手を付けようとしない俺に話しかけてくる。 ワイバーンの肉の美味さを説明されたところで、目玉も同じように考えられると本気で思っているのだろうか。 だったら肉が食べたいんだけど。なんで美味い肉の部分じゃなくて希少な部位を出されるんだよ。有名なカレー屋さんで親子丼を食べさせられる気分だ。 給仕係りもランデルも俺が食べるのを待っているみたいだし。……でもこれを食べたらマネチャが貰えからなあ。 よし、腹を括ろう。いくらなんでも勇者に食えないものを出すはずがない。 ワイバーンの眼球をフォークで刺す。意外にもシリコンのような感触で、持ち上げてもしっかりと形を保っていた。  俺は、心の中で十字を切りながら巨大な目玉にかじりつく。「うっわあ……。しょっきゃんはしゅぎょきゅきみょちわりゅいきぇぢょ、ちょんぢぇみょにゃきゅうみぇえ。きょりゃうんみぇえわ!」※うっわあ……。食感はすごく気持ち悪いけど、とんでもなくうめえ。こりゃうんめえわ! 思わず叫んでしまうほどの美味さ。 しかしこれは未知の食材。分かりやすくリスナーに伝えなくては。コメ:え、美味しいの?勇太:かぶりついた時のムチュンという食感が気持ち悪く、不快感を感じる。しかし、熱で白く変質したゼラチン質の目玉を咀嚼した途端、口内に上品かつ濃厚な旨みが広がる。これが、今までに経験した事のない脳に電流が走るかのような強烈な旨みで、考えるより先に喜びの声が自然と口から漏れ出してしまった。この味が何に似ているかと聞かれても例を挙げるのは難しいけれど、似ている食材をあげろと言われたら白子だろうか。茹でたタラの白子を食べた事があるが、あれを二千倍美味しくした食材と考えてみて欲しい。コメ:一瞬でこの感想が出てくるセンスwwwコメ:口から出た感想は頭悪そ
last update최신 업데이트 : 2025-02-23
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ミノタウロスの恐ろしさ

「ユートルディス殿、起きてくだされ!」 どれほど気を失っていたのだろうか。 色んな事がありすぎてまだ頭が痛い。 ランデルに揺さぶり起こされているのも原因の一つに違いないが。コメ:お、きたか?【五千円】コメ:丸一日寝てたぞ!コメ:目覚ましユートルディス時計再びwwwコメ:首取れそうw勇太:みなさん、おはようございます。コメ:動じてなくて草コメ:勇太くんワースレでちょっとずつ話題になってきてるよ!コメ:俺はとぅいパラから来た。コメ:切り抜きバズったからお礼だよ!【二万円】 視聴者数が千五百人、登録者数が五千人を超えていた。 キャスター界では、常時視聴者数が千人以上なら仕事として成り立つと言われている。 さらに、寝て起きただけで二万五千円も頂いてしまった。少しずつ知名度が上がってきているようで、止むに止まれぬ状態だ。 さて、今度は何があったというのか。「ミノタウロスが出ました! モロンダルの坑道に着く前にユートルディス殿の力を示し、皆の士気を上げるチャンスですぞ!」 なるほど、ミノタウロスが出たのか。それは大変だね。 なぜ俺が力を示さないとならないのだろうか。ダメだ、このジジイの思考に脳が追いつかない。 何を言っているのか少しも理解できない。「しゅみゃにゃい、みょういちぢょいっちぇきゅりぇにゃいきゃ?」※すまない、もう一度言ってもらえないか?「ミノタウロスが出ました! モロンダルの坑道に着く前にユートルディス殿の力を示し、皆の士気を上げるチャンスですぞ!」 うん、無駄な時間だったね。 もしかしたら冗談で言ってるのかもしれないと期待してみたんだけど、結果は変わらなかった。勇太:うん、聞き間違いじゃなかったみたいです。コメ:大事なことなので二回言いました。コメ:大事なことなのでryコメ:ついに勇者ユートルディスが戦うのか?wコメ:ミノタウロスはやばすぎやろ。勇太:今回も
last update최신 업데이트 : 2025-02-25
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走馬灯が浮かんでくる

「御武運を!」 剣と盾を持ってきた騎士が深々と頭を下げた。俺の両腕はだらりと下がった。ボクサーがノーガードで相手を挑発しているような体勢だ。「ささ、ユートルディス殿。出陣ですぞ!」 ランデルが俺の背中に両手を当てて、強制的に前へ前へと進ませようとしてくる。 押すな押すなクソジジイ! マジで死ぬってあんな化け物。俺は生まれてから一度も喧嘩をした事が無いし、口論すら避けてきた人畜無害な人間なんだぞ。 「「「ユートルディス! ユートルディス!」」」 ミノタウロスがまだ暴れ回っているというのに、みんな俺の方を向いて右手を天に突き挙げている。殴り飛ばされて宙を飛んでいる奴まで俺を応援している。コメ:お、おい。流石にマズくないか?コメ:死ぬやつだろこれ……。コメ:調子に乗った俺達が悪かった! マネチャするからリセットしろ!コメ:ワクワク!コメ:ごめん、俺配信閉じる。 場の雰囲気に流されて、勝手に足が前に進んでしまう。 戦場におもむいた兵士は、こんな感じで死んでしまうのだろう。 あぁ、ミノタウロスまであと半分くらいの距離まで来てしまった。 近づけば近づくほど化け物の巨大さが分かる。 死刑台に向かう囚人てのはこんな気持ちなんだろうか。 視聴者数が五千人を突破していた。 死肉にたかろうとハゲワシが集まってきたようだ。 ハゲといえば、ランデルは何をしているのだろうか。 後ろを振り向き、潤んだ目でランデルに助けを求めてみたが、ランデルは大剣を地面に突き刺し、全力でユートルディスコールに混ざっていた。 危なくなったら助けに来てくれるよな? 信じてるからな? そのうなずきは何を意味してるんだ? ちゃんと助けてくれよランデル!コメ:いや、マジで何してんの?コメ:もう見てられない。コメ:また馬鹿な新人キャスターが死ぬな。コメ:誰か何とか出来ないの?コメ:他人
last update최신 업데이트 : 2025-02-27
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モロンダルの坑道

「ユートルディス殿、ついにモロンダルの坑道に到着しましたぞ!」 街道から脇道に入り、緩やかな坂道を登り続けること四日間。 背の低い樹木と、黄緑や濃緑色の苔が所々に生えた、巨大な白い岩山に到着した。 銀鉱山として栄えていたらしく、微量ながら銀が含まれているのか、岩肌は陽光を反射してラメが入っているかのようにキラキラと輝いていた。 坑道の入り口は、鳥居型に組まれた木材で補強されており、おそらく中まで同様の作りになっているのだろう。 岩山の見惚れるような白に、鮮やかな緑黄色の植物がその形をくっきりと表現し、思わず息を呑むような美しい景色だった。 そして、坑道の入り口からは、何の力も無い俺でも目視出来るほどの禍々しくドス黒いオーラが溢れ出しており、思わず息を引き取りそうになる光景だった。 そして、俺はお尻が痛い。 おそらく真っ赤に腫れあがっているだろう。 昔鉱山だったというだけあり、ここに来るまでの道は平らに整えられていたのだが、砂状の硬い路面には小石が目立つようになり、馬車が揺れに揺れた。 精神的にも肉体的にも俺は限界を迎えている。 この数日間、俺は何度もランデルを説得した。 四天王はランデルが倒してくれと。 しかし、俺のスキル『絶望的な滑舌』が邪魔をして会話にならなかったのだ。「りゃんぢぇりゅ、おりぇにちゃちゃきゃうちきゃりゃはにゃい!」※ランデル、俺に戦う力は無い! と、言ってみた。「ははは、流石ですなユートルディス殿。ちゃちゃっとやっちゃって下さい!」 と、返されて気を失なった。「りゃんぢぇりゅ、おにぇぎゃいぢゃきゃりゃいっきゃいみゃじみぇにひゃにゃしをきいちぇきゅりぇ!」※ランデル、お願いだから一回真面目に話を聞いてくれ! と、声を荒げてみたが、少し沈黙が続いた後ランデルは瞳を|潤《うる》ませた。「……ユートルディス殿、ワシはこの命を国に捧げております。そう言って頂けるのは騎士冥利に尽きますが、最後までお供させて頂きます!」
last update최신 업데이트 : 2025-03-01
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俺に憧れてるらしい

 ドラゴンには、スキル『炎の勇者』を持つタイキンさんでさえ苦戦していた。  弓や魔法をものともしない|強靱《きょうじん》な鱗に守られ、尻尾の一薙ぎで巨大な建造物を吹き飛ばし、上空から灼熱の炎を吐いて街を壊滅させてしまう最強最悪のモンスターだ。  名前のついたモンスターはネームドと呼ばれ、同種の中でも抜きん出た強さを誇ることで知られている。  ネームドドラゴンというだけでも恐ろしいのに、その中で一番強い個体を一分もかからず瞬殺したのが狂乱の一角獣ライトニングビーストという四天王らしい。勇太:良かった、俺なら今回の四天王を簡単に倒せるらしいです。……んなわけあるかいっ! コメ:突然のノリツッコミwww コメ:この状況でよくふざけていられるなw 勇太:ちょっと企画やっていいですか? コメ:唐突すぎて草 コメ:面白かったらマネチャするわw 勇太:俺よりランデルの方が強いって分かってもらえれば、代わりに戦ってくれると思うんですよね。なので、今からジジイと模擬戦します! コメ:自殺する気か? コメ:ちゃんとイカれてて草 コメ:身投げ企画お疲れ様です! 危険なのは重々承知の上だが、説得しても伝わらないのだから体で分からせるしかない。  直接戦えば、いくらこのジジイが脳無しだとしても、俺がどれだけ弱いか気付いてくれるはず。「りゃんぢぇりゅ、いっきゃいりぇんしゅうしにゃい? みょぎしぇんちぇいうにょきゃにゃ。おりぇぎゃちゃちゃきゃえにゃいっちぇきょちょを、しょろしょろきぢゅいちぇひょしいんぢゃよにぇ」 ※ランデル、一回練習しない? 模擬戦っていうのかな。俺が戦えないってことを、そろそろ気付いて欲しいんだよね「よろしいのですか? ワシが本気で戦っても傷一つつけられるかどうか……。しかし、いち武人として、勇者と戦えるのはこの上ないほまれ。全力で行きますぞ!」 近くにいた騎士に聖宝剣ゲルバンダインとルミエールシールドを持って来てもらった。  勇者の戦いが見れると興奮していたのか、剣と盾を雑に渡された。  あまりの重さ
last update최신 업데이트 : 2025-03-02
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また死にそう

 模擬戦という名の茶番が終わり、俺は自分の弱さを証明出来なかった。あのアホジジイがまともにやっていたとて、どうせ俺が手を抜いただの花を持たせてくれてありがとうだのと言ってきたに違いない。ユートルディスコールはどちらにせよ起きていただろう。どちらにせよ最初から俺の負けだったのだ。 このままでは、四天王と戦うことになってしまう。ミノタウロスのときは、奇跡が俺の命を守ってくれたけれど、今回ばかりは間違いなく死ぬ。勇者の立場を利用して、無理矢理ランデルを戦わせてしまおう。 それしかない気がする。 「ではユートルディス殿、早速ライトニングビーストを倒してしまいましょう!」「ひゃいひゃい、しょりぇじゃおにぇぎゃいしみゃしゅにぇ」※はいはい、それじゃお願いしますね「『ソロで俺が行きますね』、ですと? 四天王なんぞユートルディス殿の敵ではないのでしょうが……」 そんでこれね。 俺のスキルって、活舌が悪くなるだけじゃなく、不運まで引き寄せてるんじゃないか?勇太:うわ、またやっちまった。自然な流れでランデルにお願いしようとしただけなのに!コメ:悪夢再び。コメ:お願いしますと言うと行かされる定期wコメ:このスキル『絶望的な滑舌』がマジで悪さしかしないな。コメ:変なデバフよりよっぽど厄介だよねwww勇太:さすがに四天王は無理なんですが。コメ:四天王じゃなくても無理だろw【二千円】 四天王と戦うなんて絶対に嫌だ。 俺はゴネる! 何が何でも逃げきってやる!「いや、ちぎゃう。りゃんぢぇりゅぎゃ……」※いや、違う。ランデルが……「みなのもの、聞けい! これより勇者ユートルディス殿が単独で坑道に入る!」 この流れはまずい、今度こそ殺されてしまう。 こいつらを戦わせて、俺はいつでも逃げれるように遠くで見ていたいのに。 「みゃちぇみゃちぇみゃちぇ!」※待て待て待て!
last update최신 업데이트 : 2025-03-03
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四天王ライトニングビースト

 坑道の中を覗く勇気なんて無いので、狂乱の一角獣ライトニングビーストがどのような姿なのかは分からない。 しかし、暗闇の奥から心臓を握り潰されるような恐ろしい気配を感じた。 暗闇から漏れ出す漆黒のオーラが、四天王の心情を表すかのように激しく揺れ動いている。 そのプレッシャーだけで胸が苦しくなり、過剰に空気を取り込もうと呼吸が荒くなった。 血の気が引くとともに意識が遠のき、背筋が粟立つ。 恐怖で思考が阻害される。 一般人が無闇に近づいていいものでは無かった。「我が名は狂乱の一角獣ライトニングビースト。我に挑んだ事を後悔させてやるわ! 勇者よ、死ぬがいい!」 濃密な死の予感が脳内を埋め尽くすと同時に、腰が抜けて情けなく尻餅をついてしまった。 俺は、自然と生存本能に任せた行動を取っていた。 地面に投げ捨てたルミエールシールドを両手で拾い上げ、その後ろに屈んで隠れた。「グルォオオオオオオオ!」 けたたましい咆哮とともに、坑道の奥から放出された漆黒のイカヅチが山も壁も地面も関係なく吹き飛ばした。 轟音と共に俺の周囲が黒く光り輝き、地形がどんどん変わっていく。 幸か不幸か、ライトニングビーストは俺をいたぶるつもりらしく、自分の力を誇示するからのように俺を避けた場所を狙っているようだ。 俺の周囲は火山のマグマ溜まりのようになっていた。 逃げ場が無いとはこの事だなと自分の死を受け入れるしかなく、無我の境地に達している。 液状化した地面から放射される熱でとんでもなく暑いが、サウナよりはまだ我慢出来る程度で済んでいるのが救いだろうか。 まあ、俺のすぐ側を黒い稲妻が通った時点で、脚からこんがり焼けてしまうだろうけど。コメ:おいおいヤバいって!コメ:世界の終わりみたいな光景なんだが……。コメ:何でリセットしないの?コメ:分からんが、死の恐怖で頭が真っ白になってるのかもしれない。 もう俺には盾の持ち手を両手で握りしめ、神に祈る事しか出来ない。 だって、死
last update최신 업데이트 : 2025-03-04
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嫌だなぁ

「やりましたなユートルディス殿! このライトニングビーストの首は、馬車の上に張り付けにしましょう。一気に士気が上がりますぞ!」「よ、よきゃっちゃにぇ……」※よ、よかったね…… 悪趣味がすぎる。 その馬車に乗る俺の気持ちを考えて欲しい。 ランデルは、誇らしげな表情で巨大な人面獅子の頭を馬車の屋根に縛りつけていく。 鼻歌混じりに作業をしているランデルからは、狂気しか感じられない。 幾重にも縄で頑強に締め付けられたライトニングビーストの生首は、面白可笑しくデコボコに変形していた。まるで、お笑い芸人が輪ゴムや透明なテープで顔面をぐるぐる巻きにして、変顔を作っているかのようだ。 あんなに誇り高そうな態度をしていた四天王を思うと、少し可哀想になった。 もし俺がこの世界で死ぬのなら、こいつにイタズラされないように跡形も無く消え去りたい。コメ:うわぁ……。コメ:俺達は何を見せられているんだ。コメ:馬車が血で染まっていく。コメ:サイコパスかな?wコメ:気持ち悪くなってきた。 馬車は、簡単な作りの木製の車体にアーチ状に加工した金属が取り付けられ、そこに幌を括り付けている安っぽい見た目をしている。 お世辞にも頑丈とは言えない手作り感満載の馬車なので、巨大なライトニングビーストの生首の重さで幌がヘコんでしまった。 二頭身にデブォルメされて、随分と可愛らしくなったものだ。 「しかし、凄まじかったですな。四天王が放ったカオスライトニング・ゼラとユートルディス殿の『オーディンマストダイ』でしたか? 技のぶつかり合いは鳥肌ものでしたぞ!」 このジジイの言っている事が何一つ理解できないんだが。 オーディンマストダイって何? 一般人の俺に技もなにもないんだが。「いや、おうてぃにきゃえりちゃいっちぇいっちゃんだけぢょにぇ」※いや、お家に帰りたいって言ったんだけどね「これは失礼、『オーディニ
last update최신 업데이트 : 2025-03-05
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話を聞いてくれ

 そういえば、先日のミノタウロスは最高に美味しかった。 肉は筋繊維が太くて硬すぎる為、噛み切れないので食べないらしいが、内臓系はどの部位も絶品らしい。 俺は、ミノタウロスのミノというダジャレのような部位を頂いた。 塩を振るだけのシンプルな味付けであったが、歯応え、旨み、脂身、全てにおいて究極のミノと言えた。 怪我をした騎士には、優先的にレバーが与えられていた。 彼らがレバーを噛み締めるたびに、恍惚とした表情を浮かべていたのは忘れられない。 ちなみに、一番美味いのは大腸らしいのだが、切り開いて川で洗ったりと下処理が大変なので、食べるまでに時間がかかってしまう。 早く食べられる部位は、身分が上の物に優先的に提供されるという仕組みらしい。 その理論でいくと、一般男性の俺が大腸を食べられるはずなのだが、勇者として祭り上げられているピエロなので、俺の願いが叶うことは無いだろう。 小さく切り分けられたミノタウロスの大腸が網の上に乗ると、焚き火でその上質な油が溶け出し、なんとも香ばしい良い香りのする煙が立ち昇っていた。 こんがり焼けた大腸を口に含み、飛び上がって体でその美味しさを表現する奴らを見て、次があれば俺もあれを食べさせてもらおうと決意した。 ワイバーンも美味かったしな。 次は目玉以外を食べさせてもらいたいが。「ユートルディス殿、今回圧倒的な力を見せて頂き、騎士達の士気は最高潮に達しております。是非、次のオウッティ山脈では残虐の王ネフィスアルバの討伐を我々にお任せ下され!」 これは願ってもない申し出だ。 アホランデルから初めてまともな提案が出てきた気がする。 しかしだ、ここは最新の注意を払って返答しなければならない。 俺の滑舌とエスパー翻訳ジジイの相互作用で、どんな曲解をされるか分かったもんじゃないからな。 ここでお願いしますと言うと俺が行かされるので、ここは短く分かりやすい返事をするとしよう。 お願いしますと言うと俺が行かされるっておかしいけどな。「うん!」※うん! 流石に伝わっただろう。
last update최신 업데이트 : 2025-03-06
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