一夜明け、王都に向けて部隊が出発した。 馬車の中にはアル、ランデル、俺の三人で乗っている。 いつものように俺の隣にはアルが座り、ランデルは俺と向かい合うように座っている。 前回アルがランデルを蹴り飛ばした時に、アルの前方の座席が吹き飛んでしまったからだ。 ランデルからは、アルに対して怒っているとか、憎んでいるとか、仕返ししたいとか、そういったマイナスの感情が見えない。 生死の境を彷徨ったのにも関わらず、何も無かったかのように、自分が逸れてからの出来事を説明している。 身振り手振りを交えながら話す様子は楽しそうにすら見える。 ランデルが俺達の視界から消えた後、その勢いのまましばらく街道を逆走し、森の中へと入った。 何本もの木々を突き抜けて、大木の半ばまで頭からめり込んだところでやっと停止した。 脳震盪を起こしたランデルは、そのまま気絶してしまった。 しばらくして目を覚ましたランデルの視界は真っ暗で、身動きが取れない状況だった。 木の中に居るのだから当然なのだが、その時のランデルは記憶が混乱していて何が起こっているのか分からなかったらしい。 かろうじて少し腕が動かせたので、周囲を手探りで把握しようとしたところ、壁のような何かに囲まれている事に気づいた。 少しでも隙間を作ろうと、背中で踏ん張り目の前の壁を押してみると、メリメリという裂けるような音とともに少し空間が広がった。 これはいけると思ったランデルは、全身の力を瞬間的に爆発させた両手の掌底を打ち込んだ。 炸裂音とともに大木がへし折れ、目の前に夜空が現れた。 そこでようやく自分が森の中に飛ばされたことを思い出したという。 ランデルは急いで街道に出ようとしたが、随分と深い森の中だったようで、迷っているうちに次から次へとモンスターが襲いかかって来た。 愛剣を荷馬車に置いていたので、片っ端から飛びついて頚椎を捻り上げて殺したらしい。 彷徨いながら戦い続けること二日間、ついに街道に戻ることに成功した。 街道に戻って走り出すと、途中にライトニングビーストの首が落ちて
최신 업데이트 : 2025-04-04 더 보기