「奈津美は相手にしないつもりかもしれないけど、あの人たちは裏であなたの有る事無い事言ってるんだよ!それでもって、評判が悪くなるのは向こうじゃなくてこっちなのよ。私が腹が立ってしょうがないわ」月子がぷんぷんしているのを見て、奈津美はクスクス笑い出した。「月子も彼女たちがデタラメ言ってるの分かってるでしょ?でもね......ちょっと面白いこと見つけちゃった」「何?」「白石さん、カンニングしてたよ」「ええっ?!彼女がカンニング?! 」月子の目がパッと輝いた。綾乃は神崎経済大学の学生会長で、成績もずっと良かったのに、この間ちょっと落ち込んでいるみたい。でも、あの綾乃の性格からして、カンニングするなんて、誰も信じられないよね?「ねぇ奈津美、どこで聞いたの?ホントなの? 」「100%確信はできないけど、今日の彼女、様子がおかしかったわ。特に校長先生がカンニングしている学生を捕まえに来ると言った時、すごく緊張しているみたいだった」「だよね。カンニングしてなきゃ、緊張しないもんね」月子は慌てて奈津美の腕をつかんで、「行こう、今すぐ校長室に行って告発するの!」と言った。この前、綾乃が校長室で奈津美を陥れようとした一件、失敗には終わったけど、おかげで月子は綾乃の本性を見抜くことができた。普段学校では優しくて気前のいいキャラを演じてるくせに、あんな汚い手を使うなんて。「待って!」奈津美は月子の腕を掴んで止めた。月子はムッとした様子で言った。「あんな風に奈津美にひどいことしたのに、見逃すつもり?」「見逃すなんて言ってないよ。でも証拠もないのに校長先生に告げ口して、今日彼女の様子がおかしかったからカンニングを疑ってる、なんて言えないでしょ?」奈津美はゆっくりとこう言った。「それに綾乃には涼さんがついてる。証拠もないのに、もし綾乃が逆ギレして私たちが仕組んだって言ったらどうするの?」「じゃあ、知ってたって知らなかったって一緒じゃん!証拠がなきゃ白石さんを罰することはできない!」月子はまるで空気が抜けた風船みたいに、さっきまでの勢いはすっかりなくなってしまった。奈津美は微笑んで言った。「証拠はないけど、探せばいい。学校の監視カメラの映像を見れば、他の生徒がカンニングしてたことは証明できる。でも白石さんは捕まってない。
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