目の前の人は、将来の黒川夫人なのだ。詩織は言った。「もちろんいいわよ!でも、どうして黒川家に住みたくないの?黒川家はすごい豪邸だって聞いたわよ。まるで宮殿みたいで、庭だけで私たちの家よりも何倍も広いんだって!どうしてそんなに気が進まないの?」「実は......まだ......」やよいは顔を赤らめ、「少し怖いの」と言った。やよいは具体的に言わなかったが、ルームメイトたちは彼女の気持ちが分かった。皆、驚いて「まさか?黒川社長は、まだあなたに触れていないの?」と尋ねた。「嘘でしょ!私が聞いた話では、奈津美は黒川社長を振り向かせるために、自分から身を差し出したらしいわよ」「一度そういうことをした男は、なかなか止められないわよ。あなたは黒川家の未来の嫁なんだから、黒川社長があなたに触れないわけないじゃない」ルームメイトたちは身を乗り出して、詳しい話を聞こうとした。奈津美の名前を聞いて、やよいの顔が曇った。それを見た詩織は、「奈津美はまともな人間じゃないわ。やよいとは違うのよ。黒川社長はやよいが好きなんだから、大切に扱ってくれるに決まってるわ!」と言った。詩織に庇われて、やよいは苦笑した。「そういえば、理沙が退学になったって知ってる?」「本当?どこで聞いたの?」「大学の掲示板に書いてあったわよ。それに、グループにも注意喚起が流れてきたわ!見てないの?」みんなスマホを取り出して見てみると、確かに理沙が退学になったという情報が流れていた。詩織は理沙の親の七光りが大嫌いだった。「理沙は綾乃を頼りにして、好き放題やってきたけど、ついに天罰が下ったわね!お父様も理事の座を追われたそうよ」「いつも綾乃が庇ってたのに、今回はどうして庇わなかったんだろう?」「知らないの?黒川社長の指示よ。社長がそう言ったんだから、綾乃が逆らえるわけないじゃない」詩織はやよいを見て、「それに、今は社長にはやよいがいるんだから、綾乃のことなんて眼中にないわよ。今回、社長が奈津美を助けたのは、きっとやよいが頼んだからに違いないわよね?」と言った。やよいは、詩織がそう考えているとは思っていなかったので驚いたが、周りの人たちは納得したようだった。「そうだわ、やよいは優しいから、従姉妹がいじめられるのを見過ごせなかったのね。だから、社長に頼んだの
Magbasa pa