しかし、綾乃に対しては見て見ぬふりをしていた。今も校長先生は綾乃を弁護しようとして、こう言った。「この紙切れが何を証明するというのですか?」「この紙は、白石さんが私の答えをカンニングして、破棄したという証拠です」今度は奈津美が校長先生の言葉に答えた。校長先生は言った。「どうやって白石さんがあなたの答えをカンニングして、捨てたことを証明するのか?もしかしたら、これはあなたが......」「校長先生、この二枚は私の0点の答えです」奈津美はカバンから白紙の問題用紙を二枚取り出した。問題用紙には学籍番号と名前だけが書かれていて、中身は白紙だった。奈津美は言った。「校長先生、この二枚の問題用紙の筆跡が違うのが分かりますよね?」「それがどうした?この0点の答えが君のものではないという証拠にはならない!」「私の右手は重傷を負っていて、先生からは一ヶ月は字を書かないように言われています。だから試験の時は左手で書きました。左手で書いた字は歪んでいるのに、私の0点の問題用紙に書かれている字は非常に整っています。つまり、誰かが私の答えを破棄して、白紙の問題用紙に私の名前と学籍番号を書いたということです。これが証拠の一つです」奈津美の話を聞いて、校長先生の顔色はさらに悪くなったが、それでも彼は言い逃れようとした。「たとえ誰かが君の問題用紙を破棄したとしても、カンニングしたという確証にはならない。もしかしたら......」「白石さんの問題用紙を取り寄せて、二枚の問題用紙の答えが同じかどうか見れば、結論が出るはずです」「答えが似ているのはよくあることだ!答えの核となる部分は同じだから、そのことでカンニングしたとは断定できないんだ」校長先生がまだ綾乃の味方をするのを見て、奈津美は最後の証拠を出した。「校長先生のおっしゃる通りです。しかし、一点だけ、校長先生も言い逃れできないことがあります」校長先生は不思議そうに尋ねた。「それは何?」「二回目の試験ですでに不審な点があったため、私は三回目の試験の最後問題に、あえて架空の事例を回答しました。登場人物や出来事はすべて架空であり、ネット上で調べても出てこないものです。ところが、その内容と白石さんの答案がまったく同じだったのです」そう言って、奈津美はスマホに入っている綾乃の問題用紙の写真を
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