三日後、母さんと私は旅に出た。まずはエジプトに行き、ピラミッドやスフィンクスを見て、その後はモロッコに向かい、白い街カサブランカを訪れた。冬になると、私たちは北欧へオーロラを追い求めた。満天の星の下、青とピンクの光が揺らめく中で、私の中に再びインスピレーションが湧き上がった。しかし、私はもう創作する勇気がなかった。母さんは私の気持ちの変化に気付き、肩を叩きながら言った。「人生は、目の前のことだけじゃないんだよ。時には振り返ってみることも大切さ。覚えておきなさい、パパとママはいつだってお前の一番の味方だからね」四ヶ月の旅が終わり、私は気持ちを立て直して父さんの会社に入った。私は忙しく仕事に追われていたが、父さんは毎日嬉しそうに笑っていた。ある晩、父さんが取引先との接待に私を連れて行ったとき、妍希から電話がかかってきた。「和樹、もういい加減にして帰ってきなさいよ。私を本気で怒らせたら、業界からお前を完全に追放するわよ!二度と戻ってこれなくなるんだから!」妍希は見た目こそ高潔な仙女のようだが、実際は金のことを何よりも重視している。彼女は芸能界の金がいかに簡単に稼げるかをよく知っていた。私が「工事現場監督の息子」にすぎないと思っている彼女は、私がこんな華やかな生活を捨てるわけがないと思っていたのだ。私が答えないでいると、妍希はようやく態度を和らげた。「悠太だって、ちゃんとお前に謝ったじゃない。どんなに怒っていても、そろそろ許してくれたっていいでしょ?和樹、私、お前のことが恋しいの。早く帰ってきてよ」「ねぇ、あなたってピアノを弾くのが大好きだったじゃない?最近は新しい曲を書いたの?私に聴かせてくれない?」妍希のこの表裏のある態度は、悠太と彼女が裏で繋がっていることを一層確信させた。私は腹が立ち、彼女をブラックリストに入れて着信拒否にした。複雑な芸能界を離れた日々は、まるで穏やかな平凡な生活に戻ったようだった。このままずっと続くかと思っていた矢先、五兄が突然訪ねてきた。「いやぁ、いい暮らししてるじゃないか。今や大社長か!」「お前が富二代だって知ってたら、会社と交渉して違約金を払わせるなんてことはしなかったよ。お前があんなに違約金を節約できたのは私のおかげだぞ!」「おい、今日はお前が飯、酒、そしてマッサー
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