直規は、太郎のように表立って頻繁に姿を現すことはなかった。彼の周囲には近づくのも難しく、直接接触することができないため、彼がよく行く場所で友達たちと交代で張り込むしかなかった。その日、友達から連絡があり、食事の席で彼らが次の計画を話しているのを聞いたという。「前にお前が送ってきたやつ、騒ぎが大きくなってるみたいだな。生きていたくないのか?」録音の中で、直規が怒ってコップを叩き割る音がした。「怒らないでください。あの子の親があまりにしつこくて…。でもご安心を、先日ちょっとした手を使って、一家を田舎に帰らせました」その言葉を聞いた途端、直規の声はようやく落ち着いた。「それならいい。明日、必ず埋め合わせをしろよ」彼は具体的には言わなかったが、何の「埋め合わせ」かは俺にはわかっていた。心の中で怒りが一気に湧き上がり、今すぐにでも直規を殺してやりたい衝動に駆られた。俺の様子を見た友達が慌てて「違法行為はするな」と俺をなだめた。直規を一週間張り込んだ後、彼がある田舎の女子院でのチャリティーイベントに出席するという情報を掴んだ。写真に写っていた単純な少女たちを見て、俺は麗ちゃんを思い出さずにはいられなかった。かつてあんなに無邪気で笑顔の絶えなかった娘が、あの野郎どもからどんな虐待を受けていたのかと思うと、胸が締め付けられるように痛んだ。もう二度と同じ悲劇を繰り返させるわけにはいかない。俺は必ず、奴らに報いを受けさせてやる!俺はイベントのスタッフに紛れ込み、マイクの前で偽善者の顔をした直規を睨みつけていた。直規は写真に写っている少女たちに貪欲な視線を送り、無意識に唾を飲み込んでいた。彼が偽善的なスピーチを終えると、記者たちは一斉にマイクを持って彼に質問を浴びせた。「山口さん、ずっと女子教育のチャリティーに力を入れている理由は何ですか?」直規は作り笑いを浮かべながら答えた。「多くの少女たちが、貧困のために一生山を出ることもなく、一生勉強もできない。それを少しでも彼女たちに返したいと思ったんです」その言葉が終わるや否や、周囲からは拍手が湧き起こった。誰も知らないだろう。目の前にいるこのスーツを着た男こそが、無数の少女たちを破滅させた人だということを。俺は拳を握りしめていた。直規がイン
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