朝の光が薄いカーテン越しに差し込んできた。私はそのまぶしさに顔をしかめながら、ぼんやりと瞳を開いた。体が重く、頭がぐらぐらする。この感覚は…酒のせいだとすぐに分かった。昨夜、相当飲んだんだな、と自分に呆れながら体を起こそうとした瞬間、隣に誰かがいることに気づいて、心臓が止まるかと思った。「え…?」ベッドの中、私の隣に見知らぬ男性が寝ている。背が高く、広い肩が布団の下から覗いているのが見えた。混乱した頭の中で必死に昨夜の記憶をたどろうとするが、アルコールのせいか、細部がぼやけている。なんで私、こんなところにいるの?混乱する中でふと、彼の首元に目が留まった。そこには、見覚えのあるチェーンがぶら下がっている。それは…私の祖母の形見の指輪。昨夜、私は酔った勢いでこの人にそれを渡してしまったのだ。思い出して、冷や汗がじわりと出る。「やばい…」その指輪を取ろうと、彼に手を伸ばすと気配を感じたのか、彼が寝返りを打った。私は慌ててベッドから抜け出し、できるだけ静かに服を手に取った。ドアの方に向かおうとするけど、頭の中では昨夜の出来事が断片的にフラッシュバックしてくる。彼とは確か、バーで出会った…。「お待たせしました、ジントニックです。」カウンター越しに低い声が聞こえ、私は顔を上げた。サングラスをかけたバーテンダーが、グラスをそっと私の前に置く。背が高くて、スーツ姿がよく似合う彼に、私はいつも目を奪われてしまう。サングラスをかけているせいで、表情はよくわからないけど、どこか寡黙でクールな雰囲気がある。何度か来たことのある、会社の近くのバー。店内は明かりが落とされていて落ち着く空間だ。彼と一緒に、もう一人同じぐらいの男性がいるこの店。私もいつもは誰かと来るため、あまり気にしていなかったが、今日は訳あって一人。アルコールも手伝って声をかけていた。「ありがとうございます。でも…なんでサングラス?」私は、つい好奇心でそんなことを聞いてしまった。だって、室内なのにサングラスって普通じゃない。彼は静かに口を開いた。「視力が弱くて」一瞬、私は何も言えなくなった。気まずくて、どう返事をすればいいかわからない。無意識に、グラスを口元に運びながら、私は彼をちらりと見た。彼は気にする様子もなく、穏やかに立っていた。「ごめんなさい…そんなつもりじゃなかったの。」「
Last Updated : 2024-10-07 Read more