予想通り、動画にはレストランでの出来事が記録されていた。 映像では、修が西也の手を振り払っただけで、全く力を入れていない様子がはっきりと映っていた。そして、その瞬間、西也がわざと自分で後ろに倒れ、背中を壁にぶつけたことも明確に記録されていた。 さらに映像には、修の背後に若子が現れるのを見て、西也がわざと転倒したように振る舞い、若子に誤解させようとしているのが見て取れた。そして、若子が修を非難している間、西也は彼に向かって挑発的な笑みを浮かべていた。 その笑みは、あからさまに狡猾で得意げなものだった。 映像を見た西也の心臓は激しく鼓動し、思わず眉間に皺を寄せた。 ―この藤沢、なんてしつこいやつだ! だが、焦ってばかりではいけない。もし若子がこのメッセージを見てしまったら、一気にすべてが台無しになるだろう。 一度はメッセージを削除して、この件がなかったことにしようと考えたが、すぐに思い直した。 修のような男は、必ずどこかで若子に直接この件を伝えようとするだろう。仮に若子のメッセージを削除したとしても、修側のデータまでは消せない。それがバレれば、かえって若子の信頼を失う可能性が高い。 少しの間、混乱していた西也だったが、深呼吸をして冷静さを取り戻した。 「落ち着け、今これを見つけたのは俺だ。少なくとも若子より先に知ることができたんだから、まだ主導権はある」 そう自分に言い聞かせ、メッセージを再び未読状態に戻した。 その後、彼は若子の部屋に戻り、スマホを元の場所にそっと置いてから部屋を後にした。 若子が目を覚ました時、すでに昼近くになっていた。彼女は空腹を感じ、時計を見て慌ててベッドを飛び出した。身支度を整えた後、リビングへ向かう途中で家の使用人から、西也が自室にいると聞いた。 若子はその足で西也の部屋へ向かい、ノックをした。 「西也、いるの?」 しかし、中からは何の反応もなかった。 心配になった若子は、ドアを開けて中に入った。すると、部屋の中で西也がティッシュを手に持ちながら涙を拭っているのが目に入った。 若子は眉をひそめ、急いで彼の元へ駆け寄った。 「西也、どうしたの?何があったの?それともまた頭が痛いの?」 彼は急いで顔をそらし、ティッシュを隠そうとした。 「何でもないよ。心配するな。
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